ルイ・テオドル・フューレ

ルイ＝テオドル・フューレ

ルイ＝テオドル・フューレ（Louis-Theodore Furet, 1816年11月25日 - 1900年1月15日）は、19世紀に活躍したフランス人宣教師です。パリ外国宣教会の会員として日本に派遣され、長崎県長崎市にある国宝、大浦天主堂の設計に携わったことで広く知られています。

生涯

1816年、フランスのコメルに生まれたフューレは、1839年5月に司祭に叙階されました。その後、1852年（嘉永5年）にパリ外国宣教会の会員として香港に到着し、宣教活動を開始します。1855年2月には、ジラール神父、メルメ・カション神父と共に沖縄に上陸し、聖現寺で日本語の学習を始めました。同年5月には、フランス艦の通訳として平戸島の南方に渡り、その後香港へ帰還。さらにフランス艦の乗員として函館を視察しました。

その後、再び那覇に渡り、5年半滞在。1862年（文久2年）9月には、ベルナール・プティジャン神父と共に横浜へ向かいました。1863年（文久3年）には、日本宣教区長であったジラール神父の命を受け長崎へ。外国人居留地であった大浦の南山手乙一番地に土地を購入し、司祭館を建設。大浦天主堂の建設に着手しました。しかし、同年10月には大浦天主堂の建設をプティジャン神父に引き継ぎ、心身の疲労のため帰国を余儀なくされます。

1865年（慶応元年）3月、日本での信徒発見の知らせを受け、瀕死の父に別れを告げ、直ちにフランスを出航。1866年（慶応2年）5月7日、クーザン神父と共に再び長崎に上陸しました。長崎では、フランス語の教授や欧米人との交流を行う傍ら、潜伏キリシタンの司牧に尽力しました。1867年（慶応3年）からは、横須賀海軍造船所で働くフランス人技師のための贖罪司祭を務め、同時に海軍士官学校でフランス語を教えました。

1869年（明治2年）、フューレはフランスへ帰国し、パリ外国宣教会を脱会。その後はラウル教区の司祭として働き、1900年（明治33年）にその生涯を閉じました。

大浦天主堂

フューレが設計に携わった大浦天主堂は、現存する日本最古の教会建築であり、ゴシック様式の美しい外観が特徴です。1864年に創建され、1933年には国宝に指定されました。内部には、ステンドグラスや祭壇など、貴重な美術品が数多く保存されています。大浦天主堂は、日本のキリスト教の歴史を象徴する重要な建造物として、多くの人々に愛されています。

参考文献

横浜都市発展記念館『横浜・長崎 教会建築史紀行』2004年
長崎文献社『旅する長崎学』2006年
井手道雄『西海の天主堂路』新風舎 2006年
フランシスク・マルナス『日本キリスト教復活史』みすず書房、1985年 4-622-01258-8
Gilles van Grasdorff, La belle histoire des Missions étrangères 1658-2008, Paris, Perrin, 2007.
Gilles van Grasdorff, À la découverte de l'Asie avec les Missions étrangères, Paris, Omnibus, 2008.

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