ルクス (装甲車)

ルクス（Luchs）とは

ルクス（Luchs）は、西ドイツで1964年に開発され、ドイツ陸軍での偵察任務を主目的とした八輪駆動の装輪装甲車です。その名は、ドイツ語でオオヤマネコを意味します。ルクスは、その高い機動性と静粛性を駆使して、偵察活動において重要な役割を果たしました。

開発の背景と特徴

開発は1964年にスタートし、当時の西ドイツ陸軍は、第二次世界大戦中に活躍したSd Kfz 231やSd Kfz 234に類似した装甲車を求めていました。多くの企業が共同で研究に取り組みましたが、ダイムラー・ベンツ社は独自に進め、最終的には同社の車両が採用されました。

ルクスは八輪駆動のシステムを持ち、全ての輪での操舵が可能です。この設計により、舗装された道路だけでなく、未舗装の地面でも安定した走行ができる特徴があります。車両は独立懸架式を採用し、各輪には油圧ショックアブソーバーが組み込まれており、衝撃吸収性が高くなっています。

また、車両には前方だけでなく後方にも操縦席が設けられており、緊急時には後ろを向いたまま後退することが可能となっています。これにより、迅速な退避が可能です。加えて、ルクスは比較的静かな走行性能を持つため、特に偵察任務において優れた静粛性を誇ります。また、水上での運用も考慮されており、車体後部にはスクリューが2基装備されています。

防御性能も充実しており、仮想敵国の装備に耐えられるよう、傾斜した装甲を採用しています。車体前面は20mm砲弾にも耐え得る厚さを持ち、全体に避弾経始が施されています。武装としては、MK.20 Rh202という20mm機関砲を装備し、対地攻撃だけでなく対空能力も持っています。さらに、NBC防護（核・生物・化学防護）機能が備えられており、複合的な防衛が可能です。

配備と運用

ルクスは1968年から試験を経て、1975年に正式に配備が開始されました。その後、合計408両が生産され、運用されることとなります。しかし、その高性能にもかかわらず、高価格が輸出の障害となり、多くの国への販売には成功しませんでした。

1982年以降、熱映像式夜間視察装置を装備する改修を受けたルクスは、砲塔左側の赤外線投光機を外して改良され、これによりルクスA2と呼ばれる新バージョンが登場しました。ドイツ再統一後も運用が続きましたが、最終的には2009年に退役となりました。

登場作品

ルクスはゲームをはじめとするさまざまなメディアに登場しています。たとえば、ゲーム『WarRock』では装甲車として水上移動が可能な設定で登場し、『凱歌の号砲 エアランドフォース』では日本を占拠したドイツ軍の車両として使用可能です。また、アニメ映画『FUTURE WAR 198X年』では、ドイツ空軍の警護任務に就く形で登場します。

まとめ

ルクスは高い機動性や防御力を持つ装輪装甲車として、ドイツ陸軍において重要な役割を果たしました。その静粛性やバリエーションも評価され、独自の地位を持っていました。

もう一度検索