ルサ3世

ルサ3世は、ウラルトゥ王国が衰退していく時期の王であり、彼の治世については未だに多くの謎に包まれています。彼の父はエリメナであり、彼が王位を継承した時代は、ウラルトゥを取り巻く国際情勢が大きく変動していました。

当時のウラルトゥは、長年の宿敵であったアッシリア帝国の滅亡という事態に直面していました。アッシリアは、紀元前7世紀以降はウラルトゥの属国として協力関係にありましたが、紀元前609年に新バビロニアメディア王国の連合軍によって滅ぼされました。この結果、ウラルトゥは新興勢力である新バビロニアとメディア、そしてスキタイの脅威にさらされることになったのです。新バビロニアの王ナボポラッサルは、紀元前609年から607年にかけてウラルトゥに侵攻し、王国の命運を左右する事態となりました。

ルサ3世の治世に関する情報は、いくつかの碑文から確認できます。これらの碑文によると、彼はトゥシュパ(現在のヴァン)、エレブニ(現在のエレバン)、テイシュバニ(カルミル・ブルール遺跡)などの都市に穀物倉庫を建設しました。これらの事業は、王国の食糧供給を安定させ、民生の安定を図るためのものであったと考えられます。また、外交面においては、ウラルトゥメディア王国の属国となっていたと考えられています。

ルサ3世の跡は、息子のルサ4世が継ぎました。しかし、ウラルトゥ王国の衰退は止まらず、やがて王国は滅亡へと向かうことになります。ルサ3世の時代は、ウラルトゥ王国が滅亡へと向かう過渡期であり、彼の治世は王国の命運を左右する重要な時期であったと言えるでしょう。

参考文献

Арутюнян Н. В. Биайнили (Урарту), Издательство Академии наук Армянской ССР, Ереван, 1970
Арутюнян Н. В. Некоторые вопросы последнего периода истории Урарту // Древний Восток, Издательство АН Армянской ССР, Ереван, № 2, 1976
Дьяконов И. М. Последние годы Урартского государства по ассиро-вавилонским источникам // Вестник Древней Истории № 2, 1951
Robert Rollinger: The Median Empire, the End of Urartu and Cyrus the Great Campaigne 547 v. Chr. in Nabonaid Chronicle II 16 in: Proceedings of the 1st International Conference on Ancient Cultural Relations between Iran and West-Asia, Teheran 2004

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