ルノー・シンボル

ルノー・シンボルは、フランスの自動車メーカーであるルノーが製造していたコンパクトセダンです。主にBセグメントに位置づけられ、多くの市場ではルノー・クリオのノッチバックセダン版として開発されましたが、独自の進化も遂げました。一部の国や地域では「タリア」という名称でも販売されています。

歴史

初代 (1999年 - 2008年)

初代シンボルは、ルノーの人気モデルであるクリオIIのセダンバージョンとして、1999年末に市場に投入されました。このモデルは、特にセダンに対する需要が高い東ヨーロッパを中心とした新興国市場を主なターゲットとして設計されました。ハッチバックモデルと比較して全長が約38cm延長されており、その結果、クラスとしては広い510リットルという大容量のトランクルームを備えるなど、実用性が重視されています。

販売される地域によって様々な車名が用いられ、「クリオシンボル」「タリア」「クリオセダン」「シンボル」といった名前が見られました。さらに、メキシコやチリなどのラテンアメリカ諸国では、日産ブランドの「プラティーナ」としても製造・販売が行われました。

生産は世界各地の工場で行われました。中心的な製造拠点となったのは、トルコのブルサにあるオヤック・ルノー工場で、1999年から生産が開始されました。その後、2000年からはアルゼンチンのサンタ・イサベル工場、ブラジルのサン・ジョゼ・ドス・ピニャイス工場でも生産が始まり、2001年にはコロンビアのソファサも生産拠点に加わりました。日産のメキシコ工場（アグアスカリエンテス）では、2002年からプラティーナの生産が行われています。また、2002年から2004年の短い期間ですが、ロシアのアフトフラモスでも製造が行われていました。

搭載されるエンジンは仕向地によって多岐にわたります。欧州仕様には、1.4Lの8バルブ（75hp）と16バルブ（98hp）の2種類が用意されました。アルゼンチンでは1.6L 16V（100hp）や1.9L自然吸気ディーゼル（65hp）、コロンビアでは1.4L 8V、ブラジルでは1.6L 16Vまたは1.0L 16V（70hp）が設定されました。

2002年3月には最初のフェイスリフトが実施され、外観ではクリオIIハッチバックと同様の新しいフロントデザインが採用されました。内装では、パワーウインドウのスイッチ位置がセンターコンソールからドアパネルに変更され、新しいデザインのステアリングホイールが装備されました。欧州仕様のエンジンラインナップには、新たに1.2L（75hp）、1.6L 16V（100hp）、そして1.5L dCiディーゼル（75hp）が加わり、後に1.5L dCiには70hp版と80hp版も追加されました。1.4L 16Vエンジンにはオートマチックトランスミッションの設定も追加されています。2003年には南アメリカでもフェイスリフトモデルが登場し、ブラジルではガソリンとエタノールの両方に対応するフレックス燃料エンジン（1.0L 16V：ガソリン76hp/エタノール77hp、1.6L 16V：ガソリン110hp/エタノール115hp）が導入されました。アルゼンチンでは、同年後半にCNG仕様も追加されています。

2005年前半には、クリアタイプのテールライトやグリルの小変更、アナログ式からデジタル式への計器類変更といった軽微な改良が行われました。さらに2006年には再びマイナーチェンジが実施され、グリルの形状変更、全グレードでのボディ同色バンパー採用（モールディングなし）、ルノーのロゴと一体化したデザインのトランクリッドハンドルといった変更が外観に施されました。

初代シンボルは、全世界で累計60万台以上が販売される成功を収めました。

2代目 (2008年 - 2013年)

2代目モデルは、2008年 8月のモスクワ国際モーターショーで初公開され、同年9月から11月にかけて順次発売されました。この世代から車名に「クリオ」が含まれなくなり、単に「シンボル」となりましたが、一部の市場では先代から引き続いて「タリア」の名称が使われました。2代目は初代シンボルをベースとしながらも、クリオシリーズとは明確に異なる独立した外観デザインが与えられています。全長は先代よりも約7cm長くなり、トランクルーム容量は506リットルが確保されています。

開発はルノーのフランス、トルコ、ルーマニアにあるエンジニアリングチームが共同で担当し、プロジェクトは26ヶ月をかけて完了しました。ターゲット市場は、東中欧、ロシア、トルコ、北アフリカ、中東の国々です。

生産は、トルコのブルサにあるオヤック・ルノー工場と、南米市場向けにアルゼンチンのサンタ・イサベル工場で行われました。

搭載されるエンジンは仕向地によって異なり、D4F型1.2L 16V、K7J型1.4L 8V、K4J型1.4L 16V、K7M型1.6L 8V Hi-Flex、K4M型1.6L 16V（Hi-Flex版を含む）、K9K型1.5L 8V ディーゼルなどが設定されました。このモデルは、トルコ警察でも使用された実績があります。

3代目 (2013年 - )

2013年以降の3代目シンボルは、ルノーグループ傘下であるルーマニアの自動車メーカー、ダチアが製造する2代目ロガンのOEM供給モデルへと切り替わりました。

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