ルリビタキ

ルリビタキ（瑠璃鶲）

ルリビタキ（学名: Tarsiger cyanurus）は、スズメ目ヒタキ科に属する美しい鳥です。その名の通り、オスは鮮やかな瑠璃色の羽毛を持ち、日本の野山でよく見られます。

分布

ルリビタキは、広範囲に分布しています。具体的には、アフガニスタン、インド、エストニア、カザフスタン、タイ、韓国、台湾、中国（北部および南部、香港を含む）、日本、ネパール、パキスタン、フィンランド、ブータン、ベトナム、ミャンマー、モンゴル、ラオス、ロシアなどで確認されています。

夏季はユーラシア大陸の亜寒帯やヒマラヤ山脈で繁殖し、冬季はユーラシア大陸南部で越冬します。日本では、基亜種が夏季に本州中部以北や四国で繁殖し、冬季になると本州中部以南で越冬します。

形態

ルリビタキの全長は約14cmです。体側面はオレンジ色の羽毛で覆われており、これが英名（flanked＝脇腹、側面）の由来となっています。腹面の羽毛は白色です。尾羽は青色をしています。種小名の cyanurus は「青い尾の」という意味です。

オスの成鳥は、頭部から上面にかけて鮮やかな青い羽毛で覆われます。一方、幼鳥やメスの成鳥は、上面の羽毛が緑褐色をしています。オスの若い個体（2年未満）は、メスの成鳥に比べて翼が青みがかっており、体側面や尾羽の色味がより鮮やかです。オスの羽色が完全に青くなるまでには、2年以上かかるとされています。

分類

ルリビタキは、2〜3の亜種に分類されると考えられています。

Tarsiger cyanurus cyanurus (Pallas, 1773) - ルリビタキ

生態

ルリビタキは森林に生息し、冬には都市公園でも見かけることがあります。群れは形成せず、単独で生活することが多いです。

食性は雑食性で、昆虫類や節足動物、ジャノヒゲの果実などを食べます。地表や樹上を移動しながら、獲物を探し捕食します。

繁殖形態は卵生です。繁殖期には縄張りを形成し、6〜8月にかけて針葉樹林の地表に枯葉や苔などを使ってお椀状の巣を作ります。1回の繁殖で4〜5個の卵を産み、メスのみが抱卵します。抱卵期間は約15日間で、雛は約15日後に巣立ちます。生後1年で性成熟します。また、ジュウイチに托卵されることもあります。

観察のポイント

ルリビタキは、その美しい青い羽色から比較的見つけやすい鳥です。森林や公園の林床付近を注意深く観察すると、見つけられるかもしれません。特に、オスはさえずる際に目立つ場所に現れることが多いので、鳴き声に注意して探してみましょう。

注意点

ルリビタキは警戒心が強い鳥なので、観察する際は静かに、距離を保つように心がけましょう。また、繁殖期には巣に近づきすぎないように注意が必要です。

参考文献

五百沢日丸 『日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版』、文一総合出版、2004年、182頁。
黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、平凡社、1986年、154-155頁。
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中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年、32頁。
真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、456頁。
『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、52頁。
安部直哉 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、山と渓谷社、2008年、87頁。
* 柴田佳秀 著、樋口広芳 編『街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑』日本文芸社、2019年5月、202頁。ISBN 978-4537216851。

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