レクサス・RX

レクサス RX：高級クロスオーバーSUVのパイオニア

レクサスRXは、トヨタ自動車が展開する高級ブランド「レクサス」を代表する大型高級クロスオーバーSUVです。「高級セダンの乗り心地と快適性を兼ね備えたSUV」というコンセプトのもと、1997年に発表され、高級クロスオーバーSUVという新たなジャンルを切り開きました。その革新的なデザインと高い品質は、世界中の自動車メーカーに多大な影響を与え、多くの追随モデルを生み出すこととなりました。

概要

RXは、1998年の初代モデル発売以来、常に市場の注目を集めてきました。2005年には、高級クロスオーバーSUVとして世界初となるハイブリッドモデルを導入し、環境性能と走行性能の両立を実現しました。初代と2代目モデルは、日本では「トヨタ・ハリアー」として販売されていましたが、3代目モデルから「レクサス・RX」として日本市場にも導入されました。ハリアーは、3代目以降、RXとは異なる独立車種として展開されています。

初代 XU10型（1998年-2003年）

初代RXは、北米市場で発売直後から爆発的な人気を博し、5年間で約37万台を販売しました。その高い品質と信頼性は、JDパワーなどの市場調査でも高く評価されました。生産はトヨタ自動車九州が担当し、3.0L V6エンジンを搭載。AWDとFFの駆動方式が用意されました。ATのみの設定で、レザーシートや本木目パネル、JBLサウンドシステムなどが標準装備され、ナカミチのプレミアムサウンドシステムもオプションで選択可能でした。

2代目 XU30型（2003年-2009年）

2003年にモデルチェンジした2代目RXは、初期には3.3L V6エンジンを搭載していましたが、後に3.5Lエンジンに置き換えられ、名称もRX330からRX350に変更されました。北米市場での需要が非常に高く、トヨタ自動車九州だけでは生産が追いつかず、カナダのTMMCでも生産が開始されました。TMMCでは、ハイブリッドモデルを除く北米向けRXの大部分を生産しています。RXは2009年に3代目に移行しましたが、日本国内仕様の2代目ハリアーは2013年まで生産・販売が続けられました。

ハイブリッドモデル

2005年に北米、2006年にヨーロッパとアジアで発売された「RX400h」は、高級クロスオーバーSUVとしては世界初のハイブリッド車でした。V6エンジンと電気モーターを組み合わせることで、高い環境性能と走行性能を両立しました。

3代目 AL10型（2009年-2015年）

2007年の東京モーターショーでコンセプトカー「LF-Xh」が発表され、2009年に3代目RXが発売されました。このモデルから、日本市場でも「レクサス・RX」として販売が開始されました。当初は3.5L V6エンジンを搭載した「RX350」とハイブリッドモデル「RX450h」がラインナップされ、2010年には2.7L直4エンジンを搭載した「RX270」が追加されました。

RX350は、280psのV6エンジンを搭載し、世界60カ国で販売するために、硫黄分の多いガソリンでも安定した性能を発揮できるエンジンが選択されました。RX450hは、レクサス初となるアトキンソンサイクルエンジンを採用し、ハイブリッドシステムとの調和を図り、燃費向上に貢献しました。また、低速走行時にはモーターのみで走行可能なEVモードが搭載されました。

3代目RXでは、パソコンのマウス感覚で操作できる「リモートタッチ」や、フロントガラス下部に情報を表示する「ヘッドアップディスプレイ」などの先進技術が初採用されました。ハイブリッド車には、LEDヘッドランプや専用フロントバンパー、ボディカラーなどが用意され、ガソリン車との差別化が図られました。グレードは、標準仕様のほか、スポーティーな「Version S」、ラグジュアリーな「Version L」、エアサスペンションを搭載した「Version L・Air suspension」が設定されました。

2009年には、RX450hにFF仕様が追加され、軽量化による燃費向上が図られました。2010年には、2.7L直4エンジンを搭載したRX270が追加され、環境性能と動力性能を両立しました。2012年には、レクサスの新たな共通デザイン「スピンドルグリル」を採用するマイナーチェンジが行われ、内外装のデザインが刷新されました。2013年には、全車にITSスポット対応DSRCユニットが標準装備され、安全装備も強化されました。2014年には、特別仕様車「Radiant Aero Style」が発表されました。

4代目 AL20型（2015年 - 2022年）

4代目RXは、「RXでありながら、RXを超えていく」をコンセプトに開発され、レクサスのコアモデルの一つとして位置づけられました。ラインナップは、2.0L直4ターボエンジンを搭載する「RX200t」（後にRX300に改称）と、3.5L V6ハイブリッドシステムを搭載する「RX450h」の2タイプとなりました。エクステリアは、スピンドルグリルの形状を変化させ、よりシャープで力強いデザインとなりました。ボディサイズは先代モデルよりも拡大され、ホイールベースも延長されました。2017年には、3列シートの7人乗り仕様「RX450hL」が追加されました。

インテリアは、12.3インチワイドディスプレイや大型フルカラーヘッドアップディスプレイが採用され、操作性と快適性が向上しました。センターコンソールの素材には、先進性と質感の高いレーザーカット本杢が採用されました。パワーユニットは、RX200tに新開発の2.0L直4ターボエンジンが搭載され、RX450hはエンジンが刷新され、ハイブリッドシステムの効率が向上しました。駆動方式は、2WDとAWDが設定され、AWDシステムも進化しました。

走行性能では、フロントプラットフォームの構造を変更し、操舵応答性を向上させました。サスペンションも改良され、乗り心地と走行安定性が向上しました。安全装備では、「Lexus Safety System +」を全車に標準装備し、予防安全性能が大幅に向上しました。2015年のニューヨーク国際オートショーで発表され、同年秋に日本で発売されました。2016年には、F SPORTに2WDモデルが追加され、2017年にはロングバージョンのRX450hLが追加されました。

2018年には特別仕様車「Black Sequence」が設定され、2019年にはマイナーチェンジによりエクステリアデザインが刷新され、利便性の向上や走行性能の強化が行われました。2020年には、安全装備が充実化され、2021年には特別限定車「HIDEKI MATSUYAMA EDITION」や特別仕様車「Black Tourer」・「Elegant Tourer」が発売されました。

5代目 ALA10/ALH10型（2022年 - ）

5代目RXは、歴代初となる全車直列4気筒エンジンを搭載し、V6エンジンは廃止されました。プラグインハイブリッドモデル「RX450h+」が新たに登場し、電動化をさらに推進しました。外観は、「スピンドルグリル」からメッキ枠が外された「スピンドルボディ」が採用され、より一体感のあるデザインとなりました。リアデザインは、L E X U Sのバラ文字ロゴが特徴的です。

ラインナップは、ガソリンモデルの「RX350」、プラグインハイブリッドモデルの「RX450h+」、ターボハイブリッドモデルの「RX500h」の3種類が発売され、2023年にはハイブリッドモデル「RX350h」が追加されました。RX350は、2.4L直噴ターボエンジンに換装され、8速ATと電子制御フルタイムAWDシステムが採用されました。RX450h+は、2.5L直4エンジンと大容量リチウムイオン電池を搭載し、EV走行モードを標準装備しています。RX500hは、2.4L直噴ターボエンジンに高出力リアモーターを組み合わせ、DIRECT4 AWDシステムを採用しています。

2022年6月にプロトタイプが世界初公開され、同年11月に日本で発売されました。2023年にはRX350hが追加され、一部改良も行われました。

その他

レクサスRXは、モータースポーツにも挑戦しており、2005年にはRX400hがニュルブルクリンク24時間レースに参戦し、完走を果たしました。車名の由来は、「Radiant Crossover」の頭文字から来ており、光り輝く、晴れやかなクロスオーバーを意味しています。

まとめ

レクサスRXは、高級クロスオーバーSUVの先駆けとして、常に革新的な技術とデザインを取り入れながら進化を続けています。その高い品質と信頼性は、世界中で多くのファンを魅了し続けています。今後も、電動化や先進技術の搭載により、さらなる進化が期待されるモデルです。

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