レモンザメ

レモンザメ（檸檬鮫）について

レモンザメ（学名: Negaprion acutidens）は、メジロザメ科に分類されるサメの一種であり、主にインド太平洋の熱帯地域に広く分布しています。通常、深度92メートルまでの沿岸域で見られるこの種は、特に南アフリカから紅海、モーリシャス、マダガスカル、東南アジアまで成長します。レモンザメの特徴は、太い体、幅広い頭部、そして一様な黄色の体色です。最大で3.1メートルに成長し、独特の鎌型の鰭が他のサメと区別されるポイントです。

分類の歴史

この種は1837年にドイツの博物学者エドゥアルト・リュッペルによって初めて記載され、その後、1940年にはオーストラリアのGilbert Percy Whitleyにより新属Negaprionに分類されました。種名の「acutidens」はラテン語の“鋭い”を意味する「acutus」と「歯」を意味する「dens」に由来しています。日本では1981年に吉野らによって生息が確認され、「レモンザメ」という名称が付けられました。

生息地と分布

レモンザメはインド太平洋の海域に生息し、広範囲にわたって分布しています。特に日本の八重山諸島以南、西表島や石垣島などで確認されることが多いです。主に大陸棚や島棚の沿岸域に生息し、潮間帯や浅い水域を好む傾向があります。これらの環境は、彼らが好む静水ややや濁った水に適しています。

形態と特徴

レモンザメは太くて頑丈な体型をしており、頭部は短く幅広いのが特徴です。吻は丸く、鼻孔は小さめです。歯は顎の内側に並び、上顎には大きく尖った歯があります。鰭は特に背鰭と腹鰭が強い鎌型をしており、見た目の大きな特徴となっています。背面は一様な黄褐色で、腹面は淡い色合いです。

生態

レモンザメは一般に不活発で、主に海底近くで静かに泳いでいたり、時折海底に横たわっている姿が観察されます。活動の大部分は底生の硬骨魚を捕食することに費やされ、捕食対象にはサバやニシン科の魚、トウゴロウイワシ科の魚などが含まれます。寄生虫が見受けられることもありますが、時折ホンソメワケベラに掃除サービスを受けるなど、他の生物との関わりも持ちます。

繁殖と成長

レモンザメは胎生の生物で、妊娠期間は約10〜11ヶ月です。雌が出産するのは2年ごとで、通常1匹から13匹の仔を産み落とします。若魚は成魚より攻撃的な傾向があると言われていますが、全体的には臆病な性格を持ち、他の生物からは避けられることが多いです。妊娠していない雌は出産の時期に合わせて交尾も行います。

人との関わり

レモンザメには数少ないが攻撃的な行動の報告があり、人間に対しても一定の警戒が必要です。しかし、通常は臆病な性格のため、接触を嫌うことが知られています。また、喜界島ではエコツーリズムの一環として餌付けが行われていることもあり、観察スポットとしても人気があります。

保全状況

IUCNはレモンザメの保全状況を危急とし、漁業による影響が深刻であることを警告しています。産卵数が少なく移動しない特性のため、地域的な乱獲に非常に弱く、有害な漁業活動や水質汚染によってその数が減少しています。日本では重要な水産資源とはされていないものの、一部の地域では漁獲の対象とされることがあります。

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