レンジャー (CV-4)

レキシントン級に続く、[アメリカ海軍]]最初の正規空母「[[レンジャー]」

[1930年]]代、アメリカ海軍はワシントン海軍軍縮条約の枠内で、航空母艦の建造に挑みました。その中で誕生したのが、本記事で焦点を当てる「レンジャー]」です。同型艦を持たない試作艦的な要素の強い[[レンジャーは、アメリカ海軍において、設計段階から航空母艦として建造された最初の正規空母という歴史的意義を持ちます。アメリカ海軍における「レンジャー」の名を冠する艦としては7隻目にあたります。

誕生の背景と建造

当時、アメリカ海軍が保有していた空母は、給炭艦を改造したラングレー(CV-1)と、巡洋戦艦を改造したレキシントン級2隻の計3隻でした。レンジャーは、これらの艦とは異なり、最初から空母として設計された初の正規空母として建造されました。起工は1931年9月26日、バージニア州ニューポートニューズのニューポート・ニューズ造船所で行われ、1934年6月4日に就役しました。

建造に当たっては、13,800トンという軍縮条約による制約がありました。この制約の中で、可能な限りの搭載機数と飛行甲板の広さを確保するために、設計は幾度となく変更されました。しかし、当初の期待を完全に満たすには至らず、同型艦の建造は中止されます。レンジャーの設計・建造における経験は、後続のヨークタウン級やエセックス級といった、より大型で高性能な空母の開発に役立てられました。

艦形と特徴

レンジャーは、艦首のみ乾舷の高い短船首楼型船体で、クリッパー型艦首を持つ流線型の船体形状を有していました。これは高い凌波性をもたらしました。飛行甲板から下甲板までの3層構造は、以降のアメリカ空母の標準設計となります。格納庫は飛行甲板の下、2段目の甲板に配置され、側面に壁を立てて飛行甲板を確保する設計でした。

当初、アイランド（艦橋構造物）は設置されず、平甲板型空母として設計されました。しかし、建造中にレキシントン級の運用実績が得られ、アイランドがあっても着艦操作に支障がないことが判明したため、建造途中にアイランドが追加されました。この変更によって建造期間が延長されるという事態も発生しています。

飛行甲板は全長216.1m×幅26.2mの長方形に近い形状で、3基のエレベーターを備えていました。着艦制動装置は、フランス式の鋼索横張り方式を採用していました。格納庫は開放式で、76機の搭載が可能でした。開放式格納庫は換気や整備、被弾時の被害軽減に利点がありましたが、魚雷兵器庫を持たないため、雷撃機の運用には制限がありました。

武装と防御

レンジャーは、艦形小型化のため、対空火器のみを搭載しました。主武装はMk 10 12.7cm高角砲8基で、これに加え、多数の機銃類が搭載されました。就役後、順次近代化改修が行われ、武装の種類や数が変更されました。防御に関しては、飛行甲板の広さを優先した設計のため、装甲は非常に薄く、防御力は脆弱でした。このため、危険な太平洋戦線への投入は見送られました。

機関

レンジャーは、当初ターボ電気推進を予定していましたが、ギヤード・タービン方式に変更されました。これは、機関スペースの小型化と軽量化に貢献しました。ボイラーはバブコック・アンド・ウィルコックス式重油専焼水管缶6基、タービンはパーソンズ式ギヤード・タービン2基2軸推進で、最大出力は53,500馬力、速力29.25ノットを達成しました。煙突は着艦時の支障を避けるため起倒式でした。

艦歴

レンジャーは、1934年の就役後、主に大西洋艦隊に所属し、大西洋での活動が中心でした。第二次世界大戦開戦後は、通商航路の護衛や哨戒任務に従事しました。1942年11月には、北アフリカにおける連合軍上陸作戦「トーチ作戦」に参加し、航空支援を実施しました。大戦後半には、太平洋艦隊に転属し、主に練習空母としてパイロットの養成に携わりました。1946年に除籍され、翌年に解体されました。

まとめ

レンジャーは、アメリカ海軍における空母開発史において重要な位置を占める艦です。試作艦という側面を持ちながら、後続の空母設計に大きな影響を与えました。その艦歴は、軍縮条約という制約下における建造や、大戦中の役割、そしてその後の運命を通して、20世紀前半の海軍力と技術革新を語る上で貴重な資料となります。また、その脆弱な防御力という課題も、当時の海軍設計思想を知る上で重要な示唆を与えてくれるでしょう。

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