レンズマメ

レンズマメ：古代から愛される豆の物語

レンズマメ（学名: Lens culinaris）は、マメ科ヒラマメ属の一年草であり、その種子も指します。和名ではヒラマメ（扁豆）と呼ばれています。光学レンズの語源となったことでも知られ、初期の凸レンズがレンズマメの形状に似ていたことが名前の由来です。

特徴

草丈は約40cm。小さな豆果の中に2個の種子をつけます。種子は丸くて扁平な形状で、直径は4〜9mm程度です。

分布

レンズマメは西アジアが原産であり、コムギ、オオムギ、エンドウ、ソラマメ、ヒヨコマメなどと共に、古代に栽培化されたと考えられています。

利用

レンズマメは、人類が利用してきた豆類の中でも非常に古い部類に属します。新石器時代の紀元前6000年頃から、肥沃な三日月地帯で栽培が始まり、ヒヨコマメやソラマメと並んで重要な食物でした。

旧約聖書の創世記にもその名が登場します。狩猟に失敗して飢えたエサウが、弟ヤコブにレンズマメの煮物を分けてもらう代わりに、長子権を譲ったという逸話は有名です。また、エジプトの紀元前2000年紀の墳墓からもレンズマメが発掘されており、古代から広く利用されていたことがわかります。

古代ローマでは、ソラマメが好んで食べられる一方で、レンズマメはあまり一般的ではありませんでした。しかし、古代ローマの料理書『アピキウス』には、レンズマメを使った料理のレシピも掲載されています。中世ヨーロッパにおいても、レンズマメは避けられる傾向にありましたが、現在では、インド料理のカレーや、イタリア料理、フランス料理のスープや煮込み料理など、世界中で様々な料理の材料として利用されています。

レンズマメはその栄養価の高さと、調理のしやすさから、世界中で親しまれています。食物繊維やタンパク質が豊富で、健康的な食生活を支える食材としても注目されています。

参考文献

桑嶋幹『よくわかる最新レンズの基本と仕組み : 身近な現象と機器に学ぶ』秀和システム〈図解入門〉、2005年、10-11頁。ISBN 4-7980-1028-6。 
ナタリー・レイチェル・モリス 著、竹田円 訳『豆の歴史』原書房〈食の図書館〉、2020年。

関連項目

野菜の一覧
豆
レンズ
ムジャッダラ - レバント地方の料理。豆と米、またはブルグルを炊き込んだもの。
レンズ豆のスープ

外部リンク

Lens culinaris Medik (英語). Integrated Taxonomic Information System.
Lens culinaris (英語). National Center for Biotechnology Information（NCBI）.
Lens culinaris - Encyclopedia of Life (英語).

もう一度検索