レーモンド・マリー・シェーファー

レーモンド・マリー・シェーファーとは

レーモンド・マリー・シェーファー（Raymond Murray Schafer, 1933年7月18日 - 2021年8月14日）は、カナダを誇る作曲家であり、サウンドスケープの概念を広めた先駆者です。日本では、「マリー・シェーファー」という名でよく知られています。この名称は、彼がサントリー音楽財団からの委託を受けた際に使われ、広く認知されています。

生涯と教育

シェーファーは、オンタリオ州サーニアで生まれ、トロントの王立音楽院で音楽の基礎を学びました。その後、ヨーロッパに渡り、さまざまな音楽のスタイルを吸収します。1964年にはブリティッシュ・コロンビア州のサイモンフレーザー大学で教壇に立ち、数多くの教育関連の著書を執筆しました。彼の音楽キャリアには、大編成の管弦楽曲「ノース・ホワイト」（1973年）や、時間が2時間に及ぶ三部作「ルストロ」（1971年）など、印象的な作品が多数含まれています。

音楽のスタイル

シェーファーの作品は、電子音楽やテープと組み合わせて新たな表現を追求することでも特徴づけられています。彼が日本に初めて紹介されたのは、武満徹が編成した『Music Today '77』で、そこで演奏された『アルカナ』がその端緒となりました。1980年には、『Music Today '80』の「マリー・シェーファーの夕べ」で再び取り上げられ、多くの注目を集めました。

1985年、シェーファーは京都信用金庫からの委託により、曲『香を聴く(KO WO KIKU)』を作曲しました。小澤征爾の指揮により、京都市交響楽団が初演したこの曲は、夕暮れの京都を感じさせる独自のパフォーマンスが特徴でした。また、彼の作品には、ジョン・ケージからの影響を受けたものも多く存在します。

日本における影響

シェーファーは、いくつかの合唱作品を日本の合唱団のために手がけており、これらの作品はコンクールでしばしば演奏されています。代表的な作品には、「自然の声 Vox Naturae」（1997年）、 「17の俳句 Seventeen Haiku」（1997年）、 「香を想う Imagining Incense」（2001年）、 「ナルキッソスとエコーの神話 The Myth of Narcissus and Echo」（2009年）があります。これらの作品は、日本の音楽シーンにおけるシェーファーの存在感を強めることに寄与しました。

最晩年

シェーファーは、2021年8月14日にアルツハイマー病の合併症により88歳で他界しました。生涯にわたり、彼は音楽を通じて人々に影響を与え続け、その作品は今もなお多くの人々に親しまれています。シェーファーの音楽は、Universal EditionやArcana Editionsなどから出版されています。

著書

シェーファーは作曲家としての活動に加え、教育者としても数多くの著作を残しています。彼の著作には、教室の犀（高橋悠治訳、全音楽譜出版社）、世界の調律（小川博司・鳥越けい子ほか訳、平凡社／平凡社ライブラリー）、サウンド・エデュケーション（若尾裕、今田匡彦、鳥越けい子訳、春秋社）、音さがしの本―リトル・サウンド・エデュケーション（今田匡彦との共著、春秋社）などがあります。これらの著書は、音楽教育における彼の思想とアプローチを示す重要な資料となっています。

まとめ

レーモンド・マリー・シェーファーは、音楽界において重要な位置を占めており、特にサウンドスケープや合唱作品を通じて独自の世界観を展開しました。彼の作品は、感性豊かな表現を求める音楽愛好者や演奏者にとって、今後も学びや刺激の源であり続けるでしょう。

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