ロイコチトゾーン症

ロイコチトゾーン病について

ロイコチトゾーン病、またはロイコチトゾーン症は、住血胞子虫の一種、ロイコチトゾーンによって引き起こされる感染症です。この病気は特にニワトリに対して深刻な影響を及ぼし、日本では家畜伝染病予防法に基づいて、ニワトリに対する届出伝染病として指定されています。近年、日本獣医学会の提言により、法律上の名称が「ロイコチトゾーン病」から「ロイコチトゾーン症」に変更されました。

鶏ロイコチトゾーン症の概要

この感染症は養鶏業において特に重要視されており、病原体としては鶏ロイコチトゾーン（Leucocytozoon caulleryi）が関与しています。鶏ロイコチトゾーンは日本からマレーシアにかけての東南アジア地域に広がっており、日本国内では主にニワトリヌカカ（Culicoides arakawae）を媒介として感染が広がります。

感染のピークは毎年7月から9月に見られ、10月には通常終息します。ニワトリヌカカが吸血する際、病原体であるスポロゾイトが体内に注入され、この過程で感染が成立します。スポロゾイトは体内で発育し、様々な臓器の血管内皮細胞に侵入し、メガロシゾントという形態に成長、その後、メロゾイトを放出します。こうしたメロゾイトは再び血管内皮細胞に入り込むと、第2代シゾントに進化し、最終的には赤血球や白血球に侵入してガメトサイトへと変化します。これが再びニワトリヌカカに移行され、そこで有性生殖が行われます。

症状と病理

ロイコチトゾーン病の重大なポイントは、感染原虫の数が増えるほど、鶏に現れる症状が深刻化する点です。主な症状としては、喀血、貧血、鶏冠の蒼白、緑色便、発育不良、産卵率の低下などが報告されています。病理的には、全身の様々な臓器に点状出血が見られ、重症の場合は死亡することもあります。特に雛鶏に対しては高い致死率を示すため、特別な注意が必要です。

診断方法

ロイコチトゾーン病の診断には、寒天ゲル内沈降反応が特異性が高く利用され、また血液塗抹標本においてギムザ染色を行うことで赤血球内の第2代メロゾイトあるいは赤血球外のガメトサイトを発見することができます。これにより、病気の確認が行われます。

予防対策

予防策としては、原虫を抑制するためにアンブロリウム、エトパベート、スルファキノキサリン、ハロフジノンスルホン酸カルシウムなどの飼料への添加が行われます。また、ニワトリヌカカ対策も必要で、鶏舎への侵入防止や吸血活動の抑制が求められます。ただし、日本では産卵中のニワトリにサルファ薬を使用することが禁止されています。また、特に注目すべきは、日本国内では新たに登場したロイコチトゾーン・カウレリー第2代シゾント由来のR7遺伝子発現タンパク質を有効成分とする組換え型ワクチンの市販です。このワクチンは、感染予防に向けた新しいアプローチとして期待されています。

このように、ロイコチトゾーン病は養鶏業における重要な感染症であり、早期の対策と正しい知識が不可欠です。

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