ロス128

ロス128：おとめ座の赤色矮星と惑星ロス128b

ロス128は、おとめ座の方向、地球から約11光年（3.38パーセク）の距離にある、小型の恒星です。この星は、1925年にフランク・エルモア・ロスによって発見され、翌年にカタログに登録されました。見かけの等級は11.13と暗く、肉眼での観測は困難です。

特徴

ロス128は、スペクトル分類がM4Vの赤色矮星に分類されます。質量は太陽の約0.15倍、半径は約0.21倍と小さく、エネルギー放出量も太陽の0.035倍とわずかです。そのエネルギーのほとんどは赤外線として放射されており、可視光での明るさは太陽の0.00036倍に過ぎません。表面温度は約3,180Kと、赤色矮星としては低温です。

また、ロス128は、銀河系の円盤部に存在する恒星にしては、水素とヘリウム以外の物質の存在量を示す金属量が少ない特徴があります。これは、ロス128が比較的古い恒星であることを示唆しています。さらに、ロス128は閃光星に分類されるため、短時間で不規則な変光を繰り返します。周辺には赤外超過が観測されており、星周円盤が存在する可能性が示唆されています。

ロス128は、銀河系の中心を軌道離心率0.122で公転しており、銀河中心からの距離は26,800～34,200光年の範囲で変動します。約7万1000年後には、地球から6.233光年の距離まで最接近すると予測されています。

電波信号

2017年5月12日、アレシボ天文台の観測で、ロス128から規則的な電波信号が受信されました。この信号は、約10分間に渡って観測され、周波数が減少していくという特徴がありました。当初、この信号は非常に奇妙なものとして注目されましたが、その後の追加観測では検出されず、現在では地球周回軌道上の人工衛星からの電波障害によるものと考えられています。

惑星系

2017年7月、高精度視線速度系外惑星探査装置（HARPS）による観測で、ロス128の周りを公転する太陽系外惑星ロス128bが発見されました。この惑星は、主星からの距離、大きさ、温度、そしてロス128が閃光星としては比較的活動が穏やかであることから、これまで知られている中で最も温暖で環境が安定した惑星の一つと考えられています。

ロス128bは、地球の少なくとも1.4倍の質量を持ち、主星との距離は地球と太陽間の距離の約20分の1です。しかし、ロス128の光度が小さいため、ロス128bが受ける放射量は地球が太陽から受ける放射量の1.38倍に留まると考えられています。この研究では、ロス128bはハビタブルゾーンの内縁付近を公転していることが示唆されています。

ロス128は太陽系に接近しており、約79,000年後には、太陽系に最も近い地球サイズの太陽系外惑星となる可能性があります。この発見は、地球外生命の探査において非常に重要な意味を持つと考えられています。

関連項目

近い恒星の一覧
プロキシマ・ケンタウリ
TRAPPIST-1
くじら座τ星

脚注

注釈

出典

外部リンク

* SolStation.com Ross 128 （英語）

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