ロス128b

ロス128b：地球に似た太陽系外惑星

ロス128bは、おとめ座の方向に約11光年離れた位置にある赤色矮星ロス128の周りを公転する太陽系外惑星です。そのサイズは地球とほぼ同じと考えられており、生命が存在できる可能性が注目されています。

発見

この惑星は、チリにあるラ・シヤ天文台のHARPSという観測装置を用いて、フランスの研究チームが12年間にわたる観測データから発見しました。惑星の重力によって主星がわずかに揺れる様子を捉えるドップラー分光法という方法が用いられました。

特徴

軌道

ロス128bは、主星ロス128から約750万km（0.0496au）離れた軌道を、約10日間で一周します。これは、太陽と水星の距離の約12%にあたり、非常に近い距離です。軌道はやや歪んでおり、離心率は0.116とされています。2017年11月現在、ロス128bが主星の前を横切る「トランジット」は確認されていません。

物理的特徴

ドップラー分光法で発見されたため、ロス128bの質量は下限値しかわかっていません。その下限質量は地球の1.40倍と推定されており、岩石でできた惑星である可能性が高いと考えられています。もし質量がこの下限値であると仮定すると、表面の重力は地球の約1.12倍になります。この質量を持つ太陽系外惑星としては、プロキシマ・ケンタウリbに次いで2番目に太陽系に近い存在です。ただし、ロス128が太陽系に近づいているため、約79,000年後にはプロキシマ・ケンタウリbよりも近くなります。トランジットが観測されていないため、正確な大きさは不明ですが、プエルトリコ大学のアレシボ校にあるPlanetary Habitability Laboratoryは、地球の0.8倍から1.5倍の間と推定しています。

生命の可能性

ロス128bは、ロス128のハビタブルゾーンの内縁付近を公転しているため、表面温度は-60℃から28℃の間にあると推測されています。これは、液体の水が存在し、生命が存在する可能性がある温度範囲です。Planetary Habitability Laboratoryが定める地球類似性指標（ESI）の値は0.86で、これは2017年11月現在、TRAPPIST-1d、GJ 3323 b、ケプラー438bに次いで4番目に高い値です。

ロス128bが注目される大きな理由の一つは、主星であるロス128の恒星活動が比較的穏やかであることです。赤色矮星は一般的に、フレアなどの恒星活動が活発で、惑星に有害な影響を与える可能性があります。実際に、プロキシマ・ケンタウリやTRAPPIST-1といった赤色矮星の周りにある惑星は、恒星活動によって大気が剥ぎ取られたり、生命に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。しかし、ロス128は比較的活動が穏やかであり、ロス128bが受けるエネルギーは地球の約1.38倍に留まると推定されています。そのため、ロス128bは生命が存在するのに適した環境を持っている可能性があり、今後の地球外生命体探索に大きな期待が寄せられています。ただし、過去にはロス128も活発な時期があり、その際にロス128bが影響を受けていた可能性も指摘されています。

脚注

太陽系外惑星の一覧
プロキシマ・ケンタウリb
TRAPPIST-1d, e, f
くじら座τ星e, f
LHS 1140b
グリーゼ832c

外部リンク

地球と同じような大きさ、系外惑星を発見　生命の可能性も - CNN.co.jp
１１光年先、地球に似た惑星＝太陽系に接近中－生命存在か・国際チーム - 時事ドットコム
Ross 128 b - NASA Exoplanet Archive
Ross 128 b - Exokyoto

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