ロゼット (装飾)

ロゼット：勲章を彩る小型装飾

ロゼットとは、勲章やメダルなどの記章に用いられる、小型で円形の装飾です。通常、記章自体が高位であることを示すために使用されます。また、背広姿など、記章を直接佩用することが不適切とされる状況においても、ロゼットが用いられることがあります。ベルギー、フランス、イタリア、日本など、多くの国でその使用が規定されています。その形状から、ボウノットと呼ばれることもあります。

ロゼットは、そのサイズや用途によって様々な形態を取ります。小型のものは、ラペルピンと同様にジャケットの襟などに装着されます。例えば、大英帝国勲章の受章者は、かつては金属製のラペルピンを使用していましたが、現在は勲章の十字を中央に配したロゼットを佩用することが一般的です。絹製の台座を備えた金属製のラペルピンも存在し、これはリボンの台座のない金属製の章とは区別される装飾と考えられています。一方、大型のロゼットは、特定の騎士団のオフィサーやグランドオフィサーの勲章を吊り下げる綬（リボン）に取り付けられることもあります。

日本におけるロゼット

日本の栄典制度においては、旭日小綬章と瑞宝小綬章の綬にロゼットが付きます。法令上では「綵花」と呼ばれています。2003年の栄典制度改革以降、各種勲章（菊花章、桐花章、旭日章、瑞宝章、宝冠章、文化勲章）および褒章の略綬はすべてロゼット形となりました。特に、菊花章、桐花章、旭日・瑞宝・宝冠各章の上位3等級と文化勲章の略綬には、ロゼットの左右両側に土台（翼）が付きます。

明治時代から昭和時代にかけて制定されていた金鵄勲章においても、功四級金鵄勲章の綬には昭和12年以降ロゼットが追加され、略綬も他の勲章と同様にロゼット形へと統一されていきました。

その他の国々におけるロゼット

アメリカ合衆国では、名誉勲章に平服着用可能な小型のロゼットが定められています。過去にはパープルハート章にもロゼットが用いられていましたが、現在は金属製のラペルピンに置き換えられています。多くのアメリカ軍の勲章は、ラペルピンのサイズに縮小された略綬を備えています。また、アメリカ革命の息子達の会員は、独自のロゼットピンを佩用しています。

ベルギーでは、国家勲章のオフィシエの等級にロゼットが付きます。オフィシエ以上の等級では、ロゼットの左右に金または銀の翼が付加されます。フランスでも、レジオンドヌール勲章や国家功労勲章など高位勲章のオフィシエ以上の等級にロゼットが用いられ、等級に応じて翼が付きます。略綬単体で佩用する場合も、同様にロゼットや翼が取り付けられます。

イギリスでは、小型の銀のロゼットが記章の略綬の上に付加されます。これは、複数回受賞を表す場合が多いですが、ジョージ・クロスやヴィクトリア十字章など、例外もあります。1914年星章などの受章者も、一定の基準を満たせばロゼットを受章することができました。

家系団体におけるロゼット

アメリカ合衆国の一部の家系団体では、会員章としてロゼットが配布されています。

このように、ロゼットは国や勲章の種類によってデザインや佩用方法が異なり、その形状や大きさ、付加される装飾などは、勲章の等級や受章者の功績などを示す重要な要素となっています。

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