ロドリゴ・デ・ビベロ

ロドリゴ・デ・ビベロ・イ・アベルサについて

ロドリゴ・デ・ビベロ・イ・アベルサ（1564年 - 1636年）は、スペイン貴族であり植民地政治家として知られています。彼は特に日本を訪れたことで名を馳せ、現地では「ドン・ロドリゴ」と呼ばれています。彼の著作『ドン・ロドリゴ日本見聞録』は、日本とスペイン、さらにはその他の歴史的な交流を知る上で非常に貴重な資料として位置付けられています。これに関連して、彼の姓がしばしば「ビベロ・イ・ベラスコ」と誤って表記されることがありますが、これは父との混同によるものです。

生い立ちと経歴

ロドリゴは1564年、現在のメキシコであるヌエバ・エスパーニャに生まれました。彼は母国スペインで成長し、フェリペ2世の王妃アナ・デ・アウストリアの小姓として仕官します。その後、彼の伯父、ヌエバ・エスパーニャ副王のルイス・デ・ベラスコに重用され、さまざまな行政職を歴任しました。

1595年にはサン・フアン・デ・ウルア要塞の守備隊長兼市長に就任し、続いてタスコやヌエバ・ビスカヤの地方長官としても活躍しました。1608年には、フィリピンに臨時総督として派遣され、以後もパナマの地方長官兼軍司令官として仕事を続けました。彼の政治的経歴は豊かであり、1627年にはフェリペ3世からバリエ・デ・オリザバ伯爵に叙爵されました。

日本との関わり

フィリピンにて臨時総督を務める際には、日本との関係が一層深まりました。彼はマニラで発生した日本人の暴動に際し、暴徒の送還を行い、貿易制限を求めるなどの施策を講じました。また、徳川家康の外交顧問であったウィリアム・アダムスとの会見を通じて、友好的な関係を築きました。

1609年、次期総督との交代のために召喚され、ガレオン船の艦隊でマニラからアカプルコへ向かう途中、嵐に遭遇し彼の乗る旗艦は難破します。漂流中に、現在の千葉県に上陸し、地元の人々に救助を受けました。この時、大多喜城の本多忠朝が彼を温かく迎え入れたことが、後の日本とスペインの外交に良い影響を及ぼしました。

ロドリゴは日本滞在中に、家康とも会見し、日本製のガレオン船を拝受。この船を「サン・ブエナ・ベントゥーラ」と名付け、1610年に日本を発ちました。この航海による経験や見聞は、彼の著作にまとめられています。また、彼の帰国後も、日西双方の使節が訪れるなど、友好的な交流が続くこととなります。

影響と伝承

ロドリゴの日本滞在は、その後の日本とメキシコ間の交流の基盤を築くものであり、1888年に締結された日墨修好通商条約が平等であった背景にも彼らの友好関係が影響していると言われています。日本が開国する際の国際関係の変遷においても、彼の功績は無視できません。

現在、彼が通ったルートを走る「ロドリゴ駅伝」というイベントが行われていることからも、彼の足跡が今なお地域の文化に息づいていることがうかがえます。歴史を読み解く手がかりとして、『ドン・ロドリゴ日本見聞録』はますます多くの人に利用され、研究されています。

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