ロバート・ウェルズ (ソングライター)

ロバート・ウェルズ：多才な才能で時代を彩った音楽家

ロバート・ウェルズ（Robert Wells、1922年10月15日 - 1998年9月23日）は、ボブ・ウェルズ（Bob Wells）の名でも知られる、アメリカ合衆国を代表するソングライター、作曲家、脚本家、そしてテレビプロデューサーです。そのキャリアは、音楽、映画、テレビと多岐にわたり、各分野で目覚ましい功績を残しました。

若き日の挑戦とメル・トーメとの出会い

ワシントン州レイモンドで生まれたウェルズは、南カリフォルニア大学でスピーチとドラマを専攻。第二次世界大戦中はアメリカ陸軍航空軍に従軍しました。戦後、ラジオや映画の脚本家、作詞家として活動を開始。1945年から1949年にかけては、歌手でソングライターのメル・トーメと密接に共同制作を行い、「Born to be Blue」や「A Stranger Called the Blues」などのヒット曲を世に送り出しました。

不朽の名作「ザ・クリスマス・ソング」

二人の共作で最も有名なのは、何と言っても「ザ・クリスマス・ソング」でしょう。1945年7月の暑い日、ウェルズが書き留めた歌い出しの4行の歌詞に、トーメが触発され、二人の間で40分ほどで完成しました。この歌は、ナット・キング・コールの歌唱によって広く知られるようになり、今やクリスマスシーズンには欠かせないスタンダードナンバーとして世界中で愛されています。

多彩な才能：映画、テレビ界での活躍

トーメとの共作解消後も、ウェルズは映画やテレビの脚本執筆に力を注ぎ、デューク・エリントン、サイ・コールマン、ヘンリー・マンシーニなど、数々の著名なミュージシャンや作家と共同で楽曲を制作しました。映画監督のブレイク・エドワーズとは頻繁に協働し、『暗闇でドッキリ』や『テン』などの作品で楽曲を提供しています。また、エドワーズの妻ジュリー・アンドリュースのテレビ特番『Julie – My Favourite Things』にも楽曲を提供しました。映画音楽では、『地上より永遠に』、『フランス航路』、『テーブル・ロックの決闘』などでも才能を発揮しています。

テレビ界では、『ダイナ・ショア・シェヴィ・ショー』の放送作家、ソングライター、プロデューサーを務めたほか、ジーン・ケリー、ペギー・フレミング、アンディ・ウィリアムスなど、数多くのスターのバラエティ番組で楽曲制作に携わりました。特に、1975年のシャーリー・マクレーンの特別番組『If They Could See Me Now』は2つのエミー賞を受賞し、『ダイナ・ショア・シェヴィ・ショー』は4つのエミー賞を連続受賞しました。

私生活と晩年

1949年、ウェルズはブロードウェイの舞台女優で歌手のリサ・カークと結婚。カークが1990年に亡くなるまで連れ添いました。その後、マリリン・ウェルズと再婚し、マイケル・ゲインズを養子に迎えました。ウェルズは400曲以上もの楽曲を世に送り出し、その功績は音楽史に深く刻まれています。

主な作品

ザ・クリスマス・ソング (The Christmas Song (Chestnuts Roasting on an Open Fire)) - メル・トーメとの共作、1945年
Re-Enlistment Blues、From Here to Eternity - 映画『地上より永遠に』のために書かれたフレッド・カージャーとの共作、1953年
What Every Girl Should Know - デヴィッド・ホルトとの共作、1954年
Here's to the Losers - ジャック・シーガルとの共作、1963年
When Joanna Loved Me - ジャック・シーガルとの共作、1963年
It's Easy to Say - 映画『テン』のために書かれたヘンリー・マンシーニとの共作、1979年

受賞歴

エミー賞6回
1957年 シルヴァニア賞
1957年 ピーボディ賞
1998年 ソングライターの殿堂タワリング・ソング賞（「ザ・クリスマス・ソング」、メル・トーメとともに受賞）

ロバート・ウェルズの作品は、時代を超えて多くの人々に感動を与え続けています。

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