ロバート・サウジー

ロバート・サウジー（1774年8月12日 – 1843年3月21日）は、イギリスのロマン派詩人であり、「湖水詩人」の一人として知られています。また、桂冠詩人としても活躍しました。

生涯と業績

同時代に活躍したウィリアム・ワーズワースやサミュエル・テイラー・コールリッジの陰に隠れがちですが、サウジーは詩人としてだけでなく、文学史家、歴史家、伝記作家としても多大な業績を残しました。ジョン・バニヤン、ジョン・ウェスレー、ウィリアム・クーパー、オリバー・クロムウェル、ホレーショ・ネルソンといった著名人の伝記を執筆し、中でも『ネルソン提督伝』は1813年の出版以来、版を重ね、1926年には映画化もされました。

サウジーはまた、ポルトガル語・スペイン語の研究者としても知られ、多くの作品を英訳しました。ブラジル史や半島戦争史を著し、歴史研究にも貢献しました。そして、彼の文学史における最大の功績の一つとして、児童文学の不朽の名作『3びきのくま』の原型となる物語を著したことが挙げられます。

生い立ちと教育

イングランドのブリストルで生まれたサウジーは、ウェストミンスター・スクールで学びましたが、雑誌に掲載した記事が原因で退学処分を受けました。その後、オックスフォード大学ベリオール・カレッジに進学しますが、学業にはあまり熱心ではなかったようです。大学在学中にコールリッジと出会い、詩作を始め、1794年には最初の詩集を出版しました。

社会主義的理想と結婚

サウジーは、コールリッジらと共にアメリカで理想的なコミューンを建設する計画を立てましたが、実現には至りませんでした。1795年には、コールリッジの妻の姉妹であるエディス・フリッカーと結婚し、湖水地方に居を構えました。その後、作家のウォルター・サヴェジ・ランドールと親交を深め、互いの作品を高く評価し合う友人となりました。

桂冠詩人としての活躍と晩年

1809年からは『クォータリー・レヴュー』誌に寄稿し、1813年には桂冠詩人の地位を得ました。1819年には、土木技師のトーマス・テルフォードと知り合い、スコットランドのハイランド地方を旅行し、その記録を『1819年のスコットランド旅行日記』として出版しました。

1838年に妻エディスが亡くなった後、サウジーは詩人のキャロライン・アン・ボールズと再婚しました。晩年は精神的に不安定になり、1843年に生涯を閉じました。

政治的立場

サウジーは、当初はフランス革命を支持する急進的な思想を持っていましたが、後に保守主義へと転向しました。桂冠詩人としてトーリー党を支持し、議会改革やカトリック解放に反対しました。かつての同志を告発しようとしたことで、同時代の急進主義者から批判を浴びました。

主な作品

『ロベスピエールの失脚』（1794年）
叙事詩『ジャンヌ・ダルク』（1796年）
『ネルソン提督伝』（1813年）
『ワット・タイラー』（1817年）
『1819年のスコットランド旅行日記』（1929年出版）
『3びきのくま』（1834年）

サウジーの作品は、現在でもイギリスの学童たちに愛読されており、『インチケープの岩』や『ブレンハイムの後で』などが有名です。

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