ロバート・ヘンリー (初代ノーティントン伯爵)

初代ノーティントン伯爵ロバート・ヘンリー

初代ノーティントン伯爵ロバート・ヘンリー（Robert Henley, 1st Earl of Northington, 1708年頃 - 1772年1月14日）は、18世紀グレートブリテン王国の大法官であり、ホイッグ党の有力な一員でした。彼は、その卓越したウィットと法律に関する著作で広く知られています。

生涯

初期の経歴

ロバート・ヘンリーは、ハンプシャー地方の裕福な家庭に、アンソニー・ヘンリーの次男として生まれました。彼の祖父であるサー・ロバート・ヘンリーは、国王座裁判所の長官を務めた高名な法律家でした。

父アンソニー・ヘンリーはオックスフォード大学で学び、文学への深い造詣を持っていました。ロンドンに移住後、ドーセット伯爵、サンダーランド伯爵といった貴族や、ジョナサン・スウィフト、アレキサンダー・ポープ、トーマス・バーネットなどの著名な文人たちと親交を深めました。結婚後、1698年にはアンドーヴァー選挙区から庶民院議員に選出され、政界でも活躍しました。1711年8月に亡くなると、家督は長男アンソニー、次いでロバートが相続しました。

教育と法曹界での活躍

ロバート・ヘンリーは、ウェストミンスター・スクールとオックスフォード大学セント・ジョンズ・カレッジで教育を受けました。1727年にはオール・ソウルズ・カレッジのフェロー（研究員）となり、学術的な才能を開花させました。その後、1729年にインナー・テンプルで法律を学び、1732年6月23日に弁護士資格を取得。1746年には、兄からハンプシャーにある邸宅ザ・グランジを相続しました。このザ・グランジは、著名な建築家イニゴー・ジョーンズがヘンリーの祖父のために設計したものでした。

政界での台頭

1747年、ヘンリーはバース選挙区から庶民院議員に選出され、政界に進出しました。1756年には、イングランドおよびウェールズの法務総裁に任命され、ナイトの称号を授与されました。翌年には国璽尚書に昇進し、貴族院に移籍しました。1760年にはグランジのヘンリー男爵として貴族に叙せられました。ジョージ3世が即位した後の1761年には、大法官に任命され、1764年にはノーティントン伯爵に叙せられました。

叙爵が遅れた背景には、ヘンリーがかつてプリンス・オブ・ウェールズのフレデリック・ルイス（1751年没）を支持したレスター・ハウス党の一員であったことが、ジョージ2世の不興を買ったことがありました。1760年に男爵に叙されたのは、フェラーズ伯爵の裁判に出席する必要があったためでした。1767年に大法官を辞任し、1772年1月14日にハンプシャーの自宅で死去しました。ノーティントン伯爵の爵位は、息子のロバートが継承しました。

家族

1743年、ヘンリーはイプスリーのサー・ジョン・ハバードの娘、ジェーン・ハバードと結婚し、3男5女をもうけました。5人の娘は、キャサリン（1779年1月9日没）、ブリジット（1796年3月13日没）、ジェーン（1823年2月没）、エリザベス（1821年8月20日没）、メアリー（1753年 - 1814年）でした。

担当裁判

大法官として、ヘンリーは数々の重要な裁判を担当し、その判決は後の法律に大きな影響を与えました。

ヴァーノン対ベセル (1762): 「困窮している人は真に自由な人ではない」と述べ、譲渡抵当付き債務を抱えている者は、債務を償還して抵当を取り戻す権利を放棄できないという判決を下しました。
シャンリー対ハーヴィー (1763): 「イングランドに足を踏み入れた時点で自由人になる」という判決を下し、奴隷解放に貢献しました。
ブラウン対ペック (1758): 同棲を妨げる条項は公序に反するとして無効とする判決を下しました。
Hussey対Dillon: 「孫」（grandchildren）の定義に関する判決を下しました。
* パイク対ホーア

ロバート・ヘンリーの業績は、今日でも法曹界において高く評価されています。

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