ロバート・モリス (芸術家)

ロバート・モリス（Robert Morris, 1931年2月9日 - 2018年11月28日）は、20世紀のアメリカ美術界において、多岐にわたる分野で重要な足跡を残した芸術家です。彫刻、絵画、現代美術、そして美術批評家として、ミニマル・アート、ランド・アート、プロセス・アート、コンセプチュアル・アートといった主要な芸術運動を代表する存在でした。

生涯と作品

ミズーリ州カンザスシティで生まれたモリスは、1948年から1950年にかけてカンザスシティのアートインスティチュートとカンザスシティ大学で学びました。当初は機械工学を専攻していましたが、その後、芸術と美術批評へと関心を移しました。さらに、サンフランシスコの美術学校でも学び、1950年代には、ダンサー兼振付師であった妻のシモーヌ・フォーティと共にダンスに傾倒します。

1959年にニューヨークへ移住したモリス夫妻は、前衛ダンス集団ジャドソン・ダンス・シアターに参加し、数多くの作品を振り付け・演出しました。代表作には『アリゾナ』（1963年）、『21.3』（1964年）、『Site』（1964年）、『Waterman Switch』（1965年）などがあります。

1960年代から1970年代にかけて、モリスはミニマル彫刻、プロセス・アート、アース・ワークという三つの主要な芸術運動の定義において中心的な役割を果たしました。彼の最初のミニマリズム的なオブジェは、ダンスパフォーマンスの小道具として制作され、その後、簡素な木製の箱のような立体作品へと発展しました。これらは、ジャドソン・ダンス・シアターが表現よりも機能を重視した姿勢を反映しています。

1964年から1965年にかけて、モリスはこれらの建築的な立体作品をニューヨークのグリーン・ギャラリーで展示しました。1960年代後半には、アルミや鉄の網目といった工業的な素材を用いた、より精密な仕上げのミニマル彫刻を制作しました。また、ネオ・ダダ的な彫刻群も制作し、「芸術的な自己表現」という概念に挑戦しました。これらの作品には、脳を模した彫刻や、脳波を記録した紙を用いた「自画像」などがあり、マルセル・デュシャンの作品から着想を得たものもありました。

1966年、ハンターカレッジでコンスタンティン・ブランクーシに関する論文で修士号を取得。その後、モリスは美術批評家としても活躍し、影響力のあるエッセーを多数発表しました。特に重要なものとして、タスク志向のダンスに関する「Some Notes on Dance」（1965年）、ミニマル彫刻に関する「Notes on Sculpture」（1966年）、プロセス・アートに関する「Anti Form」（1968年）、アース・ワークに関する「Aligned with Nazca」（1975年）が挙げられます。

1967年には、ランド・アートの先駆的作品となった『蒸気(Steam)』を制作しました。

モリスは2018年11月28日、肺炎のためニューヨーク州キングストンで逝去しました。87歳でした。

モリスの作品は、従来の美術の概念を覆し、新たな表現の可能性を追求するものであり、現代美術に多大な影響を与えました。

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