ロラタジン

ロラタジン（Loratadine）とは

ロラタジンは、アレルギー症状を緩和する目的で使用される持続性選択ヒスタミンH1受容体拮抗薬です。特に、アレルギー性鼻炎や蕁麻疹、皮膚湿疹に伴うかゆみに効果を発揮します。商品名としては「クラリチン」がよく知られています。この薬は、成分特許が切れているため、後発医薬品も多数存在しています。また、2017年からは一般用医薬品としても販売されるようになり、より身近な存在となりました。

第二世代抗ヒスタミン薬としての特徴

ロラタジンは、第二世代抗ヒスタミン薬に分類されます。第一世代の抗ヒスタミン薬と比較して、眠気の副作用が大幅に軽減されている点が大きな特徴です。特に、添付文書に使用上の注意として眠気に関する記載がないことが、その安全性の高さを物語っています。ただし、同じ第二世代抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジンは1日2回の服用が必要なのに対し、ロラタジンは1日1回の服用で済むという利便性も備えています。

歴史

ロラタジンは1987年に国際的に誕生しましたが、日本では比較的後発の薬と言えます。アメリカではシェリング・プラウ（現メルク）社が「Claritin」として販売し、特許期間満了後には後発医薬品や一般用医薬品として広く普及しました。アメリカでは2005年までに10億ドルを超える売上を記録し、OTC薬として高い人気を誇りました。

しかし、2000年にはアメリカの医療用クラリチンの広告に関して、効果を誇張し価格を吊り上げているとして消費者団体から訴訟を起こされるという出来事もありました。

日本では、2002年に医療用医薬品として「クラリチン錠」が発売され、その後、水なしで服用できる「クラリチンレディタブ錠」やドライシロップも登場しました。2017年には処方箋医薬品としての指定が解除され、一般用医薬品「クラリチンEX」として販売が開始されました。当初は要指導医薬品でしたが、後に第2類医薬品に変更され、薬局やドラッグストアでより手軽に購入できるようになりました。製造はバイエル薬品が行い、販売は大正製薬が担当しています。

適応症

医療用医薬品としては、アレルギー性鼻炎（花粉症など）、蕁麻疹、皮膚疾患に伴うかゆみに効果が認められています。一方、一般用医薬品としては、アレルギー性鼻炎のみが適応症として承認されています。

特徴

ロラタジンの最大の利点は、副作用としての眠気が非常に少ないことです。臨床試験では、プラセボと比較しても眠気の発生頻度に有意差は認められませんでした。このため、日中の活動に支障をきたすことなくアレルギー症状を緩和できる点が大きな魅力です。

さらに、ロラタジンは持続性があるため、1日1回の服用で効果が持続します。ただし、効果の持続性がある一方で、1日2回以上服用する他の抗ヒスタミン薬に比べると、効果の実感が薄いと感じる人もいるかもしれません。

有効性

花粉症治療ガイドラインなどでは、ロラタジンを含む第二世代抗ヒスタミン薬が推奨されています。また、海外のデータでは、ロラタジンがパイロットの操縦能力に影響を与えないことが示されており、認知機能への影響も少ないと考えられています。2013年の試験では、ロラタジン服用者の注意力や集中力などの認知機能が、非アレルギー患者と同等であることが確認されています。

薬物動態

ロラタジンは消化管から吸収された後、肝臓で代謝され、活性代謝物であるデスカルボキシエチルロラタジン（DCL）に変換されます。このDCLはロラタジン本体よりも強力な効果を発揮します。ロラタジンとDCLの血中半減期は約14時間で、投与後10日までに尿中と胆汁中にほぼ同量が排泄されます。

副作用

重大な副作用としては、ショックやアナフィラキシー、てんかん、痙攣、肝機能障害、黄疸などが報告されていますが、発生頻度は不明です。妊婦への投与は推奨されていませんが、米国の胎児危険度分類ではリスクは低いとされています。

製剤

医療用医薬品としては、錠剤の「クラリチン錠10mg」と口腔内崩壊錠の「クラリチンレディタブ錠10mg」があります。一般用医薬品としては、「クラリチンEX」と「クラリチンEX OD錠」があり、これらは要指導医薬品から第2類医薬品へと変更されています。

クラリとティン

「クラリとティン」は、ROBOT社の野村辰寿が創作した絵本で、クラリチンの販促ツールとして使用されました。絵本のキャラクターは、蕁麻疹のような症状や大きなくしゃみをするなど、クラリチンの適応症状を連想させる描写があります。この絵本は、医療機関に頒布され、待合室などで閲覧できるようになっていましたが、その世界観が子供や母親に受け、一般書籍としても販売されました。

CMキャラクター

一般用医薬品「クラリチンEX」のCMには、井川遥さんや櫻井翔さんが起用されています。

まとめ

ロラタジンは、眠気が少なく1日1回服用で効果が持続する優れた抗ヒスタミン薬です。医療用から一般用医薬品へと展開され、より手軽に利用できるようになりました。アレルギー症状に悩む多くの方にとって、頼りになる薬と言えるでしょう。

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