ロルヒ (ヴュルテンベルク)

ドイツの古都、ロルヒ

ロルヒ（Lorch）は、ドイツ連邦共和国バーデン＝ヴュルテンベルク州、オストアルプ郡に属する都市です。シュトゥットガルト大都市圏の縁に位置し、レムス川上流域の谷に広がっています。

地理と自然

ロルヒは、ネッカー川の支流であるレムス川の谷に位置し、シュヴェービッシュ・グミュントとショルンドルフの中間に位置します。北はシュヴェービッシュ＝フレンキシャー・ヴァルト、南はシュヴェービッシュ・アルプに挟まれ、自然豊かな環境に恵まれています。シュヴェービッシュ＝フレンキシャー・ヴァルト自然公園の一部であり、リーメス遊歩道沿いに位置しています。

隣接する自治体は、北から順にアルフドルフ、シュヴェービッシュ・グミュント、ヴェッシェンボイレン、ベルトリンゲン、プリューダーハウゼンです。

歴史

ローマ時代

ロルヒの歴史は古代ローマ時代に遡ります。皇帝アウグストゥスの時代にローマ帝国が拡大し、ロルヒを含む地域が支配下に入りました。この地にはリーメスの防衛部隊のための城砦が設けられ、その中心は現在の福音主義市教会の庭にありました。城砦周辺には民間人の入植地が広がり、アウクスブルクからマインツへと続くローマ街道沿いに発展しました。ロルヒのローマ時代の名称は不明ですが、「ラウリアクム」という名称が用いられることがあります。260年頃、アレマン人の侵入によりローマ人はこの地から撤退しました。

中世

中世初期のロルヒの歴史は不明な点が多いですが、11世紀半ばには教区教会に修道参事会が創設されました。1100年頃、シュタウフェン家がベネディクト会のロルヒ修道院を建設し、この修道院が街の歴史を大きく左右することになります。13世紀には修道院がヴュルテンベルク伯の代官の支配下に入り、中世後期には市場開催権を獲得しました。

近世

1535年にウルリヒによって宗教改革が行われましたが、シュマルカルデン戦争の結果、一時的にカトリックの礼拝が再開されました。その後、再び福音主義の牧師が就任し、学校が開設されました。16世紀にロルヒ修道院は廃止されました。三十年戦争により人口が激減しましたが、その後復興が進み、市場開催権が回復しました。

近代

1861年のレムス鉄道開通により観光業が発展し、宿泊施設が増加しました。1865年にはヴュルテンベルク王カール1世によって市に昇格しました。観光振興協会が設立され、ロルヒは保養地として知られるようになりました。また、工業用地が設けられ、製麺工場が重要な雇用主となりました。

国家社会主義時代

1930年代初頭の選挙で、ロルヒではNSDAP（ナチ党）が平均を大きく上回る支持を得ました。ナチ党の権力掌握後、市議会は統制され、通りや広場の名称が変更されました。ロルヒにはユダヤ人は住んでいませんでしたが、ナチスの優生学イデオロギーにより、多くの障害者が追放され、殺害されました。1945年4月、アメリカ軍がロルヒに入城し、第二次世界大戦が終結しました。

戦後

戦後、難民が流入し、1972年にロルヒ市とヴァルトハウゼン町が合併し、現在の形となりました。

文化と見どころ

ロルヒには、ロルヒ修道院、オーバーゲルマニッシュ＝レティシャー・リーメスの見張り塔跡、聖コンラート教会、シラー広場の校舎など、多くの文化的な見どころがあります。また、ロルヒのリーメス屈曲部を含むオーバーゲルマニッシュ＝レティシャー・リーメスは、ユネスコの世界遺産に登録されています。

自然保護地区であるロルヒ浚渫湖や、市内に点在する自然文化財も魅力です。特に、修道院の北西の森にあるセコイアデンドロンは、見ごたえがあります。

イベント

毎年5月または6月初めに開催されるレーヴェンマルクト（獅子の市場）は、ロルヒ最大の市祭です。また、収穫祭や聖マルティヌスの祝日にはシュトラーセンマルクト（街道市）が開かれます。

ロルヒャー・ファスネットゲザルシャフトによる謝肉祭のパレードも人気があります。

ロルヒは、歴史と自然が調和した魅力的な都市です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体験してみてください。

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