ロル族

ロル族

イランの主に南西部から南部にかけて広がる山岳地帯に暮らす人々で、民族あるいは部族連合として認識されています。その人口は約200万人と見積もられており、この数字にはバフティヤーリー族は含まれていません。彼らの主な居住地域は、ロレスターン州、チャハール＝マハール・バフティヤーリー州、コフギールーイェ・ブーイェル＝アフマド州といったイラン国内の州にまたがっています。ロル族は、インド・イラン語群に属するイラン語派の一つであるロル語を話します。

呼称の由来

「ロル」という名称の起源については、いくつかの説が存在します。古くから語り継がれている言い伝えによれば、マーンルード川の上流にある峡谷地帯に「ロル」という場所があり、そこがこの民族集団の名前の由来になったとされています。また、イスタフリー、マスウーディー、ヤークートといった著名なアラブ人地理学者たちも、それぞれ独自の説を唱えています。これらの様々な説を総合的に考察した結果、ロシアの歴史家ウラディーミル・ミノルスキーは、「ロル」という言葉が元々は特定の地形的特徴を指す言葉であり、それが徐々にその地に住む民族集団を指す呼称へと変化していった可能性が高いと推測しています。さらにミノルスキーは、その地形を示す言葉が、アーリヤ人がこの地域に進出する以前からそこに暮らしていた先住民たちの言語に由来している可能性も示唆しています。

言語

ロル族が使用するロル語は、インド・イラン語群の中のイラン語派に分類されます。この言語は、同じイラン語派に属するクルド語と多くの点で類似性を持っていることが知られています。

歴史

ロル族の歴史において特筆すべきは、1155年にホルシーディー朝を建国し、「小ロル（Lur-e-Kuchik）」と呼ばれる領域を支配したことです。その後、ロル族は内部で分裂を起こし、デズ川を境界として、川の北側を「小ロル（Lur-e-Kuchik）」、南側を「大ロル（Lur-e-Bozourg）」と呼称される二つの勢力に分かれました。さらに19世紀後半になると、かつての小ロルは、カビール山脈とキャルハ川を挟んで東西に再び分裂しました。現代において一般的に「ロル族」という言葉を用いる場合、それは特にこのカビール山脈の東側の地域、ピーシュクーフと呼ばれる場所に居住する遊牧民の集団を指すことが多い傾向にあります。

文化

ロル族の社会構造や文化には、クルド人社会と共通する特徴が見られます。特に、女性の立場が強く影響力を持つ女系文化が育まれています。また、社会の意思決定や問題解決においては、経験豊かな長老たちが重要な役割を果たす長老制が採用されています。

宗教

ロル族の人々の大多数はイスラム教シーア派を信仰しています。しかしながら、少数ながらも、古代ペルシャの宗教であるゾロアスター教や、ローマ帝国で広まったミトラ教などを信仰している集団も存在しています。

出典

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