ロン・ガント

ロナルド・エドウィン・ガント（Ronald Edwin Gant、1965年3月2日 - ）は、アメリカ合衆国テキサス州ビクトリア出身の元プロ野球選手です。右投右打で、主に外野手として活躍しましたが、二塁手としてのプレー経験も持っています。

1987年9月6日、ガントはアトランタ・ブレーブスでメジャーデビューを果たしました。当時のブレーブスは低迷期にありましたが、ガントは数少ない期待の若手選手として注目を集めました。翌1988年には146試合に出場し、打率.259、19本塁打、60打点、19盗塁という成績を残し、フルシーズンでの活躍を見せました。しかし、1989年にはチーム事情により三塁手にコンバートされたものの、打撃不振に陥り1Aへの降格を経験。その後、外野手へ転向したことが、彼のキャリアを大きく変える転機となりました。

1990年、ガントは152試合に出場し、打率.303、32本塁打、84打点、33盗塁という素晴らしい成績を記録しました。この活躍により、「30-30クラブ」の一員となり、その名を広く知られることとなりました。翌1991年には、32本塁打と34盗塁を記録し、2年連続で「30-30」を達成。この偉業は、当時メジャー史上3番目の快挙であり、ウィリー・メイズ、ボビー・ボンズに次ぐものでした。

この年は打率こそ.251に低下したものの、打点は105に増加しました。チームは、トム・グラビン、デビッド・ジャスティス、ジョン・スモルツら若手選手の成長に加え、テリー・ペンドルトン、チャーリー・リーブランドといったベテラン選手の活躍もあり、前年の最下位から一気に地区優勝を果たしました。ナショナルリーグチャンピオンシップシリーズではピッツバーグ・パイレーツを下し、ワールドシリーズに進出しました。しかし、ミネソタ・ツインズとの対戦となったワールドシリーズ第2戦では、一塁走者として牽制球で帰塁する際に、ツインズの一塁手ケント・ハーベックに足を掴まれてアウトとなる不運な判定に泣きました。結局、チームはツインズに敗れましたが、この年を境に常勝チームへと生まれ変わりました。翌1992年は17本塁打に終わったものの、チームは2年連続でワールドシリーズに進出。しかし、トロント・ブルージェイズに敗れ、ガントにとって最後のワールドシリーズとなりました。1993年には、26盗塁に終わり3度目の「30-30」は達成できなかったものの、自己最高の36本塁打、117打点を記録しました。

しかし、1994年初頭、バイク事故で足を骨折するという大怪我に見舞われ、シーズンを棒に振りました。ブレーブスはこの怪我を理由にガントを解雇しました。

1995年、ガントはシンシナティ・レッズと契約し、見事な復活を遂げました。119試合の出場で、29本塁打、88打点、23盗塁をマークし、カムバック賞を受賞しました。翌1996年にはセントルイス・カージナルスに移籍し、30本塁打を記録しましたが、以後は盗塁数が減少しました。その後は、1997年に17本塁打、62打点、1998年に26本塁打、67打点を記録しました。1999年以降はフィラデルフィア・フィリーズ、アナハイム・エンゼルス、コロラド・ロッキーズ、オークランド・アスレチックス、サンディエゴ・パドレスとチームを転々としました。2003年に再びアスレチックスに在籍しましたが、17試合の出場で解雇され、そのまま現役を引退しました。

2005年、ガントは解説者として、全盛期を過ごしたブレーブスに「復帰」しました。

ガントは、その走攻守にわたる高い能力と、不屈の精神で、多くのファンを魅了した選手でした。

主な表彰・記録

シルバースラッガー賞：1回（1991年）
オールスター出場：2回（1992年、1995年）
カムバック賞：1回（1995年）
30-30クラブ：2回（1990年、1991年）

もう一度検索