ローソン硬式野球部

ローソン硬式野球部は、東京都を本拠地とし、日本野球連盟に所属していた社会人野球チームです。1995年に新たなチームとして活動を開始しましたが、そのルーツは1989年に創設されたリクルート硬式野球部に遡ります。ローソン硬式野球部は2002年のシーズン終了をもって解散しました。

前身：リクルート硬式野球部

チームの歴史は、1989年11月に東京都を本拠地として設立されたリクルート硬式野球部に始まります。当時、すでにアメリカンフットボール部や陸上部を擁していたリクルートは、リクルート事件によって失墜した企業イメージの回復と、社員の士気を高めることを目的に硬式野球部の創設を決定しました。チームは社業との両立を掲げ、主に東京六大学野球などから多くの大卒選手を迎え入れました。専用の練習グラウンドは持たず、練習は主に週末や休日に集中して行われていましたが、都市対抗野球の予選においては、一次予選を突破するには至りませんでした。リクルート硬式野球部は、1995年のシーズン限りでの活動休止が決定しました。

ローソン硬式野球部の設立と活動

リクルート硬式野球部の活動休止に伴い、コンビニエンスストア事業を展開するダイエーコンビニエンスシステムズ（後のローソン）が、1995年7月に新たな社会人野球チーム『ローソン硬式野球部』の設立を発表しました。同年11月からは、活動休止したリクルート硬式野球部からスタッフと選手を引き継ぐ形で本格的に活動を開始しました。リクルートから移籍した選手たちは、出向という形式でローソンに在籍しました。

ローソンとなってからは、以前よりも練習時間を確保できるようになり、高卒選手を含む積極的な選手補強が進められました。当時、親会社であるダイエーはプロ野球球団の福岡ダイエーホークスも所有しており、オーナーの中内㓛氏は、ローソン硬式野球部が、西武グループにおけるプリンスホテル硬式野球部のように、将来的にプロ野球へ選手を送り出すチームとなることを期待していました。1996年のドラフト会議前には、九州共立大学の柴原洋選手が、複数の球団から注目されながらも地元ダイエー入りを強く希望し、もし他球団から指名された場合はローソン硬式野球部へ進むと公言したことは、チームへの期待の表れと言えるでしょう。

成績と廃部

ローソン硬式野球部は、前身のリクルート時代も含めて、社会人野球の主要大会である都市対抗野球大会や社会人野球日本選手権大会に出場することはできませんでした。しかし、地方大会では力を示しており、JABA富山市長旗争奪富山大会では、リクルート時代に1993年に、ローソン時代に1999年に、それぞれ一度ずつ優勝を飾っています。

チームは、設立からわずか7年後の2002年、同年2月期の決算が大幅な減益となったことを主な理由として、同年シーズン終了をもって廃部されることが発表されました。短期間の活動に終わりましたが、チームが廃部となった2002年のドラフト会議では、4名の選手がプロ野球の世界へと羽ばたきました。

チーム出身者の活躍

ローソン硬式野球部とその前身のリクルート硬式野球部からは、何人かの選手がプロ野球に進みました。2000年のドラフト会議では、内野手の中村浩一選手が福岡ダイエーホークスに6位指名されています。チーム最後の年となった2002年には、吉川昌宏投手（ヤクルトスワローズ8位）、新井智投手（阪神タイガース9位）、伊代野貴照投手（阪神タイガース10位）、萱島大介内野手（阪神タイガース11位）の4名が指名を受けました。

また、プロ野球以外の分野でも、チーム出身者が指導者として活躍しています。リクルート時代から選手として在籍した内野手の溝口智成氏は、引退後に母校である立教大学の監督として、チームを59年ぶりに全日本大学野球選手権大会優勝に導いたほか、大学野球日本代表のコーチも務めました。投手として在籍した佐伯功氏も、三菱重工名古屋の監督として社会人野球日本選手権大会での優勝経験があります。ローソンとして創部間もない頃に選手だった横田謙人氏も、高校や大学野球の監督を経て、プロ野球独立リーグのコーチとして手腕を振るっています。

ローソン硬式野球部は、短い活動期間の中で主要大会への出場は果たせませんでしたが、前身からの流れを引き継ぎ、企業の期待を背負いながら、多くの選手を育て、その後の野球界で活躍する人材を輩出したチームとして、記憶されています。

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