ローヒッチャ経

ローヒッチャ経に関する詳細

『ローヒッチャ経』（ローヒッチャきょう、巴: Lohicca-sutta）は、パーリ仏典の長部経典の中に位置付けられた第12経です。この経典は、漢訳では『露遮経』とも知られています。ローヒッチャ経の名は、この経典に登場するバラモンであるローヒッチャに因んでいます。同様の内容を持つ漢訳の経典として、『長阿含経』の第29経「露遮経」が存在しています。

登場人物と場面

この経典においては、釈迦が主な登場人物です。彼は、500人の比丘（僧侶）と共にコーサラ国のサーラヴァティカ村に滞在していました。この村に住むパラモンのローヒッチャは、釈迦の名声を耳にし、彼を訪ねることを決心します。ローヒッチャは、釈迦が真理を悟った上でその教えを語っていることを確かめたいと考え、釈迦に自らを縛るものについて語る理由を問います。

教えの内容

釈迦は質問に対し、自分が獲得した真理を他者と分かち合うことが重要であると説きます。彼は師弟関係において、以下の四つの状況を挙げ、それを通じて真理の伝え方について解説します。

1. 師が真理を悟っていないが法を説き、弟子がこれを信じていない関係
2. 師が真理を悟っていないが法を説き、弟子が信じている関係
3. 師が真理を悟って法を説いているが、弟子が信じていない関係
4. 師が真理を悟って法を説き、弟子がそれを信じている関係

最後の関係を実現するためには、何が必要であるかを探求する中で、釈迦は次のような実践方法を提案します。まずは「十善戒」を守ることであり、その後「六根清浄」を保ち、「正念正智」を追求することが重要です。また、「三衣一鉢」による満足感を持ち、さらに「五蓋」の除去を通じて「五禅支」を育てます。最終的には、「四禅」や「六神通」の実現を目指します。これにより、真理を探求するための道筋が示されます。

法悦と帰依

この教えに感銘を受けたローヒッチャは、法を悦び、釈迦に対して三宝への帰依を誓う姿が描かれています。彼の決意は、彼自身の修行への意欲を反映しています。ローヒッチャと釈迦の対話を通して、真理を追求する精神や、その実践が如何に重要かを示す良い例となっています。

参考文献

• - 『南伝大蔵経・経蔵・長部経典1』（第6巻）大蔵出版
• - 『パーリ仏典 長部（ディーガニカーヤ）戒蘊篇II』片山一良訳 大蔵出版
• - 『原始仏典 長部経典1』中村元監修 春秋社

関連項目

ローヒッチャ経は、十号、三学、十善戒、六根清浄、五蓋・五禅支、四禅および六神通などの概念と関連しています。

外部リンク

• - Lohiccasuttaṃ - Tipitaka.org

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