ローム (土壌)

ロームとは

ローム（英: loam、独: Lehm）は、土壌の一形態であり、粘性が高く、主にシルトと粘土を含む土壌を指します。このロームが構成される地層はローム層と呼ばれ、特に日本では関東ロームが有名です。しかし、ロームの定義は、土壌中の粒径の比率に基づいており、火山起源の物質であるかどうかは重要ではありません。

関東ロームの概要

関東ロームは、関東地方の西側に位置する富士山、箱根山、愛鷹山などの火山や、北側の浅間山、榛名山、赤城山、男体山等から流出した火山砕屑物が、更新世中期以降に関東平野に堆積したものです。この名称は1881年にダーフィト・ブラウンスによって命名されましたが、その成因には未だに諸説が存在します。

ロームの中には風成二次堆積物も含まれており、これは風や雨によって火山周辺に堆積した火山砕屑物が再び運ばれて堆積したものです。具体的には、火山噴火がなくても土壌から微細な粒子が舞い上がり、これが降下してロームを形成する源となっています。関東ロームは年間で0.1から0.2mm、つまり100年で1cmから2cm、1万年で約1mのスピードで積もり続けていることが知られています。

このロームの特徴としては、その色合いがあります。関東ロームはしばしば赤土と呼ばれますが、これは含まれる鉄分が風化によって酸化した結果です。また、湿気によって堆積した場合は灰色を呈し、それによって古い水面の水平面を示すことがあります。

研究と地層の分化

関東ロームに関する研究は、1953年に始まった関東ローム団研グループによって進められました。この研究によって、ロームの地質学的な理解が深まり、日本の第四紀研究における重要な進展となりました。特に、1965年に発表された『関東ローム』という研究成果が知られています。

ローム層は堆積時期によって複数の層に区分され、南関東では多摩ローム、下末吉ローム、武蔵野ローム、立川ロームの順に古い層が存在します。大規模な火山噴火があった場合、これらの間に軽石層やスコリア層として急激に堆積することがあります。例としては、1707年の富士山の宝永大噴火によって形成された宝永スコリア層が挙げられます。また、ローム層内の軽石層やスコリア層の観察により、歴史的な火山活動を知る手掛かりも得られます。

黒ボク土との違い

一方で、ロームと黒ボク土は異なる特性を持っています。湿潤環境下で火山灰や風成二次堆積物が堆積すると、植物が育ち、腐植が蓄積されて黒色の土壌、すなわち黒ボク土が形成されます。特に、武蔵野台地ではこの傾向が見られ、ローム層の上に黒ボク土が堆積しています。

ロームは赤い土壌であり、酸化した鉄分を含むのに対し、黒ボク土は有機物を豊富に含んでおり、そのため黒色をしています。さらに、黒ボク土はローム層よりも若い時代に形成されたため、土の粒子が粘土化していないために柔らかく、「ボクボクした」感触があります。

結論

ロームや関東ロームは、地域の地質や環境に深く影響されて形成されており、その研究は日本の地質学において重要な役割を果たしています。関東ロームの特徴や形成プロセスを知ることで、土壌の進化やその背後にある自然現象についての理解が深まります。

もう一度検索