ローラ・B08/80

ローラ・B08 / 80の概要

ローラ・B08 / 80は、ローラ・カーズによって設計されたル・マン・プロトタイプの一つで、LMP2バージョンのB08 / 60から派生したモデルです。この車両は、1992年に登場したT92 / 10以来初めてとなるクローズドコックピット車両です。B08 / 80は、LMP1用のB08 / 60と異なり、小型エンジンと軽量性を追求した設計が特徴です。

シャーシの登場と使用

B08 / 80の最初のシャーシは、2008年のル・マンシリーズ（LMS）のル・マン24時間レースで、スピーディーレーシングとセバオートモーティブから成るチームによって使用されました。このマシンは、ジャッド製の最新V8エンジンを搭載していました。続いて、2008年10月のアメリカン・ル・マン・シリーズ（ALMS）のプチ・ル・マンではBKモータースポーツが参戦し、マツダ・AER製のMZR-Rエンジンが搭載されました。さらに3台目はRMLグループに販売され、そのシャーシを基にMG-ローラ・EX265Cが開発されました。BKモータースポーツはこの年に撤退し、後にダイソン・レーシングに車両を売却しました。

レース戦績と競技成績

2009年

ダイソン・レーシングは、2009年のALMSシーズンで、B09 / 86として改良を施したB08 / 80を使用しました。第5戦ライムロックパークでは、新型のローラ/マツダクーペがクラス初勝利を収めました。同年のLMSでは、B08 / 80がジネッタ・ザイテックに次いでLMP2クラスで2位となりました。

2010年

2010年のALMSでは、LMPクラスが統合され、ダイソンは1台体制で参戦しました。ローラB09 / 86は、第3戦ラグナセカで初の総合ポールを獲得し、第6戦ミッドオハイオでは初の総合優勝を果たしました。LMSではRMLがB08/80を駆り、ドライバーズとチームタイトルのダブル制覇を達成しました。特に第3戦アルガルヴェ1000kmでLMP2クラス優勝を収めました。

2011年

2011年のALMSでは、LMP1とLMP2が再び分けられ、ダイソン・レーシングはB09 / 86でLMP1クラスに参戦しました。第3戦からは#20号車が加わり、第7戦ボルチモアで総合優勝を飾りました。#16号車は優勝こそなかったものの、2011年ALMSのLMP1ドライバーとチームでの総合優勝を獲得しました。

2012年とその後

2012年には、新たにアップグレードされたB12 / 80が多くのレースに使用され、特にガルフ・レーシング・ミドルイーストがWECで二台体制で参戦しました。しかし、ローラは同年限りで経営破綻し、その後マルチマティックが資産を取得しました。2013年にはB12 / 80の使用が停止され、すべてのチームがローラからの部品サポートに依存できない状況に陥りました。

2014年に入って、マルチマティックはIMSAユナイテッド・スポーツカー選手権のPクラスに向けて、マツダとスピードソースにB08 / 80の車両を供給しました。2016年には、マツダがAER製のエンジンを搭載したB08 / 80をレーシングに使用しつつも、翌年から新たな規定に移行しました。最終的に、これによりすべてのローラシャーシの使用が終了することとなりました。

まとめ

ローラ・B08 / 80は、軽量と高性能を両立させた有力なプロトタイプカーとして、多くの成功を収めました。その競技履歴は非常に多彩で、今でもその存在感はレース界に息づいています。

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