ワスプ級強襲揚陸艦

ワスプ級強襲[[揚陸艦]]：ヘリコプター空母としての進化と多様な役割

ワスプ級強襲[[揚陸艦]]は、アメリカ海軍を代表する強襲[[揚陸艦]]です。タラワ級の設計を改良・発展させたもので、高いヘリコプター運用能力と上陸用舟艇の運用能力を両立させています。1984年から建造が開始され、計8隻が就役しました。最終艦であるマキン・アイランドは、CODLOG方式による推進システムを採用するなど、従来の艦艇から更なる進化を遂げました。

誕生の背景：水陸両用作戦の変革

ヘリコプター技術の進歩は、アメリカ海兵隊の水陸両用作戦に大きな変化をもたらしました。ヘリコプターによる兵員や物資の迅速な輸送、いわゆるヘリボーン作戦の有用性が認識され、これを支援する洋上拠点としてのヘリコプター空母の必要性が浮上しました。

これを受け、アメリカ海軍は実験的に護衛空母を改造するなど、様々な検討を重ねました。当初はヘリコプター揚陸艦（LPH）とドック型輸送揚陸艦（LPD）を別々に運用する計画でしたが、揚陸能力の不足を懸念し、両者の機能を統合した新たな艦種の開発に至ります。それがタラワ級[[強襲[[揚陸艦]]]]（LHA）です。

しかし、タラワ級は新型のエアクッション型揚陸艇LCAC-1に対応できない問題を抱えていました。この課題を解決するため、LCAC-1の運用能力を強化した発展型としてワスプ級が計画されました。その際、タラワ級との差別化を図るため、新たな艦種分類記号LHD（Landing Helicopter Dock）が与えられました。

設計：タラワ級からの改良と強化

ワスプ級の船体設計は、タラワ級を基本にしています。上部構造物は空母のような形状をしており、後部には格納庫とウェルドックを備えています。前部には乗員居住区や車両・装備品搭載区画があります。

しかし、抗堪性向上のため、戦闘指揮所（CIC）などの重要な区画は艦橋構造物からギャラリーデッキへと移設されました。また、CBR（化学・生物・放射線）対策も強化されるなど、防御面が全体的に向上しています。

船体にはバルバス・バウが追加され、ビルジキールの面積も拡大されました。上部構造物は、CICなどの移設に伴い2層分低くなっています。また、5番艦以降は艦橋周囲の兵装配置が変更されました。

スキージャンプ甲板やアングルドデッキの導入も検討されましたが、ヘリコプターの同時発着数の減少や空母としてのイメージが強くなることを懸念し、最終的には採用されませんでした。

推進システム：CODLOG方式の採用

ワスプ級の推進システムは、最終艦のマキン・アイランドを除き、タラワ級と同じギアード・タービン方式を採用していました。蒸気タービンと2軸スクリュープロペラで推進します。

しかし、マキン・アイランドではCODLOG（複合電動推進）方式が採用されました。これは低速時には補助電動機、高速時にはガスタービンエンジンで推進器を駆動する方式です。この方式により燃料消費量が大幅に削減され、運用コストの低減に大きく貢献しました。

能力：航空運用と揚陸輸送

ワスプ級は、広大な全通飛行甲板を備え、複数のヘリコプターを同時に発着させることができます。航空機のエレベーターは2基で、舷側に配置されています。格納庫の床面積はタラワ級よりも拡大され、MV-22オスプレイ、CH-53Eヘリコプター、AV-8BハリアーIIなど、様々な航空機を搭載できます。

特に、短距離離陸・垂直着陸（STOVL）機であるAV-8BハリアーIIの運用能力は強化されました。イラク戦争では、ワスプ級が「ハリアー空母」として活躍し、その有用性を証明しました。

AV-8Bの後継としてF-35BライトニングIIの配備が始まり、ワスプ級もF-35Bの運用に対応した改修が進められています。

ウェルドックはLCAC-1級エアクッション型揚陸艇3隻を収容できるよう設計が変更されました。上陸用舟艇や車両、兵員などを搭載し、上陸作戦を支援する能力も高く維持されています。

戦闘能力：個艦防空の強化

ワスプ級は、個艦防空能力を重視した設計となっており、シースパローミサイル、ファランクスCIWSなどが搭載されています。5番艦以降はRAMミサイルも装備されました。

また、近距離用の機関砲や機銃も備えています。各種戦術情報処理装置や指揮統制システムも搭載し、複雑な作戦行動を支援します。

登場作品

ワスプ級は、映画、漫画、ゲームなど様々な作品に登場しています。その高い知名度と存在感は、アメリカ海軍の象徴として多くの作品で描かれています。

まとめ

ワスプ級強襲[[揚陸艦]]は、高い航空運用能力と輸送揚陸能力を備えた、アメリカ海軍の主力艦です。その優れた能力と多様な役割は、現代の水陸両用作戦に欠かせない存在となっています。CODLOG方式の採用やF-35Bの運用など、技術革新への対応も継続されており、今後もその活躍が期待されます。

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