ワタリ (漫画)

ワタリ

『ワタリ』は、白土三平による日本の漫画作品であり、後に実写映画化もされました。

概要

『週刊少年マガジン』(講談社)で連載された全三部構成の作品です。単行本は全7巻で、「第一部」が1965年から1966年、「第二部」が1966年、「第三部」が1967年にそれぞれ発表されました。

作者の白土三平は、1965年頃につげ義春と千葉県大多喜の旅館・寿恵比楼に滞在し、本作のコマ割りを担当していました。滞在中にはよく釣りに出かけましたが、蟹取橋下流側の釣り場で杭の穴に足を落としたというエピソードがあります。この出来事は、つげ義春の『西部田村事件』で患者が杭の穴に足を落とす場面として描かれています。

1966年には、『大忍術映画ワタリ』として映画化されました。1969年には、『忍風カムイ外伝』の後番組としてTCJ、宣弘社によってテレビアニメ化が企画され、パイロットフィルムも製作されましたが、実現には至りませんでした。

ストーリー

第一部・第三の忍者

時は天正年間、百地党と藤林党の争いが続く伊賀の里が舞台です。下忍たちの命は軽んじられ、「死の掟」と呼ばれる不明な粛清に怯える日々が続いていました。そんな中、伊賀の里に突如現れたのが、ワタリとじい(四貫目)という謎の忍者です。彼らは伊賀、甲賀のいずれにも属さない「ワタリ一族」を名乗っていました。百地党と藤林党の争いの最中、下忍たちは「死の掟」をはじめとする圧政を打破するために「赤目党」を結成します。一旦は首領を倒しますが、最終的には壊滅し、さらなる圧政が敷かれることになります。そして、ワタリとじいの前に藤林党首領直属の暗殺部隊「伊賀崎六人衆」が立ちはだかります。

第二部・0の忍者

「死の掟」の謎が解き明かされたことで、既存の支配体制は崩壊し、代わりに百地党と藤林党の主だった下忍たちで結成された「赤目党」による統治が始まります。かつての伊賀の支配者であった音羽の城戸は、自らは真の支配者の命に従っただけだと弁明しますが、「百地赤目党」のリーダーである石川のオビトは一笑に付し、聞き入れません。その後、伊賀の真の支配者を名乗る「0の忍者」が現れ、人知を超えた忍術で赤目党の忍者たちを次々と倒していきます。ワタリと心を通わせた少女アテカも0の忍者に殺されてしまいます。復讐を誓ったワタリは、オビト達赤目党と共に0の忍者に戦いを挑みますが敗北し、オビトは伊賀の人々の手にかかり、ワタリも0の忍者の脅迫に屈して伊賀を去ります。その後、0の忍者を後ろ盾に復権した城戸による伊賀支配が始まりますが、その時、流行病で死んだはずの伊賀の少年カズラが墓から蘇り、ワタリと同じ術を用いて音羽の城戸と0の忍者に立ち向かっていきます。

第三部・ワタリ一族

天正伊賀の乱、本能寺の変と時代が大きく移り変わる中、どこの誰にも仕えないことを理念としていたワタリ一族もまた時代と共に変化を遂げつつありました。そんな中、ワタリとじいはワタリ一族を取り巻く陰謀に巻き込まれていくことになります。

登場人物

ワタリ: ワタリ一族の少年忍者。じいこと四貫目と共に、伊賀の忍を脅かす死の掟の謎を解くために旅を続け、強敵たちと戦います。
じい(四貫目): ワタリ一族の老忍者。ワタリと共に旅をしています。同作者の複数の作品に同名の同じ姿をした忍者が登場している他、司馬遼太郎の小説にも登場するなど、猿飛佐助と同様の架空の忍者の1人です。
月影: ワタリやじいが飼っている忍び馬です。

映画

1966年には『大忍術映画ワタリ』として映画化されました。東映初の本格的特撮映画であり、アニメーションの実力を投入して製作され、興行的にも成功を収めました。

キャスト

ワタリ: 金子吉延
ツユキ: 本間千代子
新堂の小次郎: 村井国夫
爺(四貫目): 牧冬吉
楯岡の道順: 天津敏

スタッフ

監督: 船床定男
原作: 白土三平

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