ワラビ中毒

ワラビ中毒について

ワラビ中毒、またはブランケン中毒と呼ばれるこの疾病は、主に牛、馬、羊などの家畜に見られる中毒症状を引き起こします。この中毒は、1960年代に報告され、特に牛の慢性血尿症と関連付けられています。その後の研究により、牛にワラビを与えることで急性中毒症状が生じることが確認され、白血球や血小板の減少、出血といった骨髄の障害が観察され、さらには腫瘍の出現も確認されました。これがワラビが引き起こすがんに関する研究の発端となっています。この種の中毒を予防するためには、牧草地からワラビを取り除くことが効果的とされています。

症状の分類

馬におけるワラビ中毒

馬では、ワラビに含まれるアノイリナーゼという酵素が体内のビタミンB1を分解し、これが原因でチアミン欠乏症を引き起こします。その結果、多発性神経炎が発生し、運動失調や重度の場合には痙攣や弓反張の症状が見られます。過去にはこの症状は柳川病や腰ふら病とも称されていました。治療方法としてはビタミンB1の投与や対症療法が行われますが、特にペレニアルライグラス中毒と鑑別する必要があります。

牛におけるワラビ中毒

牛においては、ワラビの中毒成分であるプタキロサイドが主に悪影響を及ぼします。これにより造血器官、特に骨髄が機能不全に陥り、再生不良性貧血や血液凝固の不全を引き起こします。牛の中毒症状としては、粘膜の蒼白や点状出血、血尿、そしてタール状の血便が見られます。特に凝固不全による出血が進行することが多く、治療としては輸血や造血剤、抗生剤の投与が一般的です。症状が現れるのはワラビを食べてから2-8週間後であり、重篤な場合は発症から1-3日で死亡することもあります。鑑別すべき疾患としてはスイートクローバー中毒や炭疽、ピロプラスマ病などがあります。

人間における中毒

人間がワラビを適切にアク抜きせずに食べた場合にも中毒の危険があります。特にこの中毒ではビタミンB1を分解する酵素が他の食品のビタミンB1を壊すことが原因で、体がだるくなり、神経痛のような症状が現れることがあります。これが進行すると脚気を引き起こすこともあり得ます。また、ワラビやゼンマイにはビタミンB1を分解する酵素が含まれており、特に身を慎むべきとされる人々にとっては、精力を落とすための食事として利用されることもあります。

モルモットへの影響

モルモットにおいては、ブラキシンCという成分が出血性膀胱炎の原因となることが知られています。

結論

このように、ワラビ中毒は家畜と人間に明確な影響を及ぼす危険な現象です。特に家畜の健康を守るためには、適切な管理や予防策が必要です。ワラビの生息環境を管理し、中毒のリスクを低減させることが重要になります。

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