ヴァシーリー・ブリュヘル

ヴァシーリー・コンスタンチノヴィチ・ブリュヘルの生涯

ヴァシーリー・コンスタンチノヴィチ・ブリュヘル（1889年11月19日 - 1938年11月9日）は、ソ連赤軍の司令官であり、ソ連邦元帥という称号を持つ重要な軍事指導者でした。彼の生涯は、第一次世界大戦やロシア内戦を経ての赤軍での活躍、さらにはスターリン時代の粛清という悲劇的な運命に彩られています。

生い立ちと初期の経歴

ブリュヘルは、モスクワの北東に位置するヤロスラヴリ県のバルシチンカ村で農奴の家に生まれました。彼の姓はドイツ的な響きを持っていますが、その出自はドイツではなく、19世紀の地主が有名なプロイセンの将軍に合わせて名付けられたものとされています。彼は第一次世界大戦前、工場の労働者として働いていましたが、自らストライキを呼びかけた結果、逮捕されて3年間服役することとなりました。

1914年、帝政ロシア軍に召集され、前線での活躍によりゲオルギー・メダルを授与され、下士官に昇進しました。1915年に重傷を負って予備役に編入された後、1916年にボリシェヴィキに加入し、1917年のロシア革命に参加しました。

赤軍での功績

ブリュヘルは1918年に赤軍に加わり、すぐに指揮官としての役割を果たしました。彼はロシア内戦の中でボリシェヴィキ側の顕著な指導者となり、兵力1万を指揮しながら白軍に対する攻撃を行い、1500キロの進軍を達成しました。この功績により、彼は赤旗勲章を初めて授与された人物となり、軍の成し遂げた行動はスヴォーロフ将軍に匹敵すると称賛されました。

内戦の終息後、彼は極東共和国の人民革命軍の総司令官に任命されました。その後、1924年から1927年にかけては中華民国において軍事顧問として活動し、国民党の北伐に貢献しました。彼の指導力のもと、多くの将校たちが教育を受け、後に中国人民解放軍で重要な役割を担うことになります。

帰国後、ウクライナ軍管区司令官に就任し、1929年からはソ連極東の特別赤旗極東軍の司令官として重要なポジションに置かれました。彼は1930年に赤星勲章を受賞し、続いてレーニン勲章も授与されています。1935年にはソ連邦元帥に昇進しました。

スターリンによる粛清とその後

ハバロフスクを拠点にしたブリュヘルは、ソ連軍の指揮官として極東地域における政治的な力を強化しました。彼は中国での土地を拡大し、ソ連に対して敵対する日本との緊張関係にも対処しました。特に1938年には、張鼓峰事件で日本軍に対してソ連軍を指揮しました。

しかし、スターリンによる赤軍の指導者たちの粛清が進行する中、ブリュヘルもまたその波に飲み込まれました。トゥハチェフスキーの処刑後、彼は粛清の危機を回避しましたが、最終的には1948年10月に逮捕されました。彼の逮捕は、彼に対する監視を担当していた極東内務人民委員部部長が逃亡したことによって引き起こされました。獄中では拷問を受け、自白を拒否したために正式な裁判を受けることもありませんでした。結局、彼は獄死しました。

1957年、ニキータ・フルシチョフにより名誉回復がなされ、今ではロシアでよく知られた人物となっています。彼に関するドキュメンタリー映像や、家族によって出版された書籍も数多く存在し、彼の生涯と業績は今なお注目されています。

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