ヴァリャーグ (防護巡洋艦)

ヴァリャーグ（ヴァリャーク）

概要

ヴァリャーグは、ロシア帝国海軍の防護巡洋艦であり、他に同型艦は存在しません。艦名の起源は古代ルーシに由来し、艦歴は非常に個性的です。特に日露戦争での仁川沖海戦において、艦長が降伏せず自沈を選んだことが高く評価され、多くの人々に称賛されました。彼の決断は艦の名声を確立し、それを象徴する存在となりました。自沈後、この艦は日本海軍に鹵獲され、修理の上で二等巡洋艦「宗谷」と改名されましたが、その後再びロシアに返還され、元の名に戻るという稀有な経歴を辿りました。

艦形と武装

ヴァリャーグの船体は短い船首楼型で、艦首には非常に特徴的な衝角が搭載されています。また、艦首からは2基の15.2cm速射砲が配置されています。指揮塔を持った艦橋には、左右に船橋が設けられ、舷側には複数の主砲が設置されています。特に、前方に4門、後方にも2門が配置されており、左右方向にも強力な火力を持っています。このような武装配置により、艦は前後と左右兼用で砲撃が可能です。

主砲と備砲

艦の主砲には、フランスのカネー社製「1892年型15.2cm速射砲」が採用されており、最大到達距離は約11,520mです。艦には12基のこの砲が搭載されており、俯仰や旋回能力も持っていますが、船体の構造によって実際の射界は制限されています。また、対水雷艇迎撃用に7.5cm速射砲や機砲、さらに水中魚雷発射管なども装備されています。

艦歴の詳細

ヴァリャーグは1898年10月にアメリカの造船所で建造が始まり、1899年に進水、1901年には竣工しました。早くも1904年には日露戦争に参加し、仁川沖海戦で敵艦との激しい戦闘に臨みました。この戦闘中、艦は大破し、艦長フセヴォロド・ルードネフは自沈を決断します。その後、艦は日本海軍によって浮揚され、二等巡洋艦「宗谷」となりました。

1916年には日本海軍から除籍され、翌年ロシアに返還されて再びヴァリャーグと呼ばれるようになります。しかし、ロシア革命の影響で1917年にイギリスに捕らえられ、最終的には漏水によって沈没しました。この艦の記憶は残り、2007年には記念碑がスコットランドに建立されています。

また、艦が使用していた旗もロシア海軍中央博物館に保管されており、その文化的意義は未だに評価されています。

結論

艦ヴァリャーグは、その不屈の精神と歴史的な背景から、多くの人にとって語り草の存在となっています。日露戦争の激闘や艦長の勇気、自沈という選択はいまだに歴史に名を刻んでいます。艦名はただの船の名前を超え、誇りと勇気の象徴となったのです。

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