ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ

株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ

株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブは、山梨県甲府市に本社を置き、Jリーグに所属するヴァンフォーレ甲府の運営を担う企業です。市民クラブとしての出自を持ち、地域社会との連携を重視したクラブ運営を行っています。

設立の背景と特徴

ヴァンフォーレ甲府は、元々親会社を持たない市民クラブでしたが、Jリーグ参入に際し法人化が義務付けられました。1997年、山梨県内の地方公共団体や個人・法人の共同出資により、株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブが設立されました。

同社は、山梨日日新聞や山梨放送などを擁する山日YBSグループとの関係が深く、オフィスを山梨文化会館別館に構え、役員もグループから派遣されています。しかし、山日YBSグループは同社をグループ企業とは見做しておらず、一定の独立性を保っています。また、地方公共団体が出資している点から第三セクターとしての側面も持ちますが、行政による経営への直接的な関与は限定的です。

特筆すべきは、クラブ運営における収益構造です。親会社からの補填に頼らず、クラブ運営による収入のみで経営が成り立っており、2001年に海野一幸氏が代表取締役に就任して以降、基本的に単年度黒字を維持しています。これは、地域に根ざしたクラブ運営と、徹底した経営努力の賜物と言えるでしょう。

商標権を巡る問題

クラブの法人化当初、旧クラブの代表者であった元監督との間で、商標権に関する問題が発生しました。元監督が商標権を個人名義で保有していたため、運営会社は商標使用料を支払う契約を締結。さらに、「将来、運営会社が商標権を買収する際には、2億4800万円で購入するよう努力する」という条項が盛り込まれました。

その後、運営会社が商標権の買収に動かなかったことから、元監督は2009年、「商標権の違法使用」を理由に、運営会社を提訴しました。これに対し、運営会社は「これまで支払ってきた使用料を差し引いた残額を提示したが、元監督側が受け入れなかった」「ロゴは支援する会が作成したものであり、元監督は名義を貸したに過ぎない」「契約は取締役会の承認を得ておらず無効である」と反論しました。

元監督の逝去後も裁判は継続され、2012年、東京地方裁判所は両者に対し、運営会社が1億2000万円を支払うことで和解するよう勧告。2014年に和解が成立し、この問題は終結しました。また、この問題とは別に、運営会社側の弁理士が元監督の許可なく商標権を抹消していた問題も発覚しましたが、こちらは弁理士が非を認め和解に至っています。

沿革

1997年2月：株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ設立
1997年12月：Jリーグ参加が正式決定
1999年：Jリーグ正会員（J2会員）に参入
2000年11月：経営危機が発生
2001年2月：海野一幸氏が社長に就任
2001年12月：会社設立以来初の単年度黒字を達成
2006年2月：事務所を現在地に移転
2006年12月：債務超過を解消
2011年1月：ヴァンフォーレ甲府商標権問題が発覚
2012年3月：海野一幸氏が代表取締役会長、輿水順雄氏が代表取締役社長に就任
2018年3月：藤原弘氏が代表取締役社長に昇任、佐久間悟氏が代表取締役GMに昇任
2020年3月：海野一幸氏が取締役会長を退任、輿水順雄氏が取締役エグゼクティブアドバイザーを退任
* 2021年3月：佐久間悟氏が代表取締役社長に昇任


株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブは、設立から現在に至るまで、様々な困難を乗り越えながら、地域に根ざしたクラブ運営を続けています。その歴史は、山梨県のサッカー文化の発展とともに、これからも刻まれ続けるでしょう。

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