ジョン・マグナー

ジョン・マグナー:クールモアスタッドを世界的な成功に導いた男



ジョン・マグナーは、アイルランドを拠点とする世界有数のサラブレッド生産牧場、クールモアスタッドの事実上のオーナーであり、その経営を統括する中心人物です。1948年生まれの彼は、代々牧場経営を営むマグナー家の出身。18歳の若さで家業を継承し、当初は障害競走用の種牡馬生産を主に行っていました。

彼の才能が開花したのは、1975年クールモアスタッドマネージャーに就任してからでした。亡き父の親友であり、名調教師として知られるヴィンセント・オブライエン、そしてロバート・サングスターらと共にクールモアスタッドを運営し、平地競走用の種牡馬ビジネスへ進出。この決断が、クールモアスタッドの驚異的な成長の始まりとなりました。

優れた経営手腕と先見の明で、クールモアスタッドは短期間で世界的な規模へと発展を遂げます。1982年には、種牡馬ビーマイゲストがイギリスアイルランドリーディングサイアーを獲得。その後、アメリカ合衆国にアッシュフォードスタッド、オーストラリアにクールモアオーストラリアを設立するなど、グローバルな事業展開を積極的に推し進めました。

クールモアスタッドの成功を象徴する出来事の一つに、種牡馬サドラーズウェルズの活躍があります。サドラーズウェルズはヨーロッパを代表する名種牡馬となり、その血統は現代競馬に大きな影響を与え続けています。現在、クールモアスタッドイギリスアイルランド競馬生産界において約4割のシェアを占めるまでに成長し、その地位は揺るぎないものとなっています。

マグナーの所有馬は、その多くが妻のスーザン名義となっています。勝負服は濃紺を基調としたデザインで、数々の名馬を輩出し、世界中の競馬ファンを魅了してきました。

主な所有馬と主な勝ち鞍

マグナーが所有する馬たちは、数々の栄光を手にしました。その中には、英ダービーや凱旋門賞といった世界最高峰のレースを制覇した馬も含まれています。以下に、特に有名な競走馬とその主な勝ち鞍をいくつか挙げます。 これらは、マグナーが個人、またはマイケル・テイバー氏、デリック・スミス氏、ウェスタバーグ氏らと共有して所有している馬です。

個人所有馬:
ガリレオ (2001年愛ダービーなど)
ハイシャパラル (2002年英ダービー、愛ダービー、BCターフ連覇など)
パワーズコート (2004年タタソールズゴールドカップ2005年アーリントンミリオンなど)
ソルジャーオブフォーチュン (2007年愛ダービーなど)
ディラントーマス (2006年愛ダービー、愛チャンピオンS、2007年ガネー賞、凱旋門賞など)
デュークオブマーマレード (2008年ガネー賞、タタソールズ金杯など)
オーギュストロダン(2022年フューチュリティトロフィー、2023年ダービーステークス、アイリッシュダービー、アイリッシュチャンピオンステークスブリーダーズカップ・ターフ、2024年プリンスオブウェールズステークス)
オペラシンガー(2023年マルセルブサック賞
メディテイト(2023年ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズターフ)

マイケル・テイバー氏と共有:
ジャイアンツコーズウェイ (1999年サラマンダー賞、2000年セントジェームズパレスS、エクリプスSなど)
ガリレオ (2001年英ダービー、KGVI&QESなど)
ハイシャパラル (2002年英ダービー、愛ダービーなど)
その他多数

マイケル・テイバー氏とデリック・スミス氏と共有:
ジョージワシントン (2006年英1000ギニー、QE2世Sなど)
アレクサンドローヴァ (2006年英オークス、愛オークスなど)
ソルジャーオブフォーチュン (2007年愛ダービー、2008年コロネーションCなど)
リップヴァンウィンクル (2009年サセックスS、QE2世Sなど)
プールモア (2011年英ダービー)
キャメロット (2012年英2000ギニー、英ダービー)
その他多数

マイケル・テイバー氏とデリック・スミス氏とウェスタバーグ氏と共有:
* その他多数

これらの馬たちの活躍は、ジョン・マグナーの類まれな才能と、クールモアスタッドの強さを証明しています。

マスコミ嫌いとマンチェスター・ユナイテッド

マグナーは、そのマスコミ嫌いで知られており、「クールモア・マフィア」というニックネームで呼ばれることもあります。かつてはマンチェスター・ユナイテッドの大株主でもありましたが、監督のアレックス・ファーガソン氏との意見対立により、株を売却しています。

ジョン・マグナーは、世界競馬史に大きな足跡を残した人物と言えるでしょう。彼の経営手腕と卓越した馬選びのセンスは、これからも多くのサラブレッドの育成と、競馬界の発展に貢献していくことでしょう。

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