ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ (アルバム)

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ

『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』は、1967年にリリースされたヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー・アルバムです。当初は商業的に成功しなかったものの、後の音楽シーンに多大な影響を及ぼし、現在では名盤とされています。特に、アメリカの音楽メディア「ローリング・ストーン」誌の「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では23位、「オールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100」では5位に選ばれています。

アルバムの制作背景

本アルバムには、バンドメンバーに加え、プロデューサーのアンディ・ウォーホルに依頼されたニコがいくつかの曲でリード・ボーカルを担当しています。1966年4月、ニューヨークのセプター・スタジオで荒れた環境の中、4日間で多くの楽曲がレコーディングされました。この制作にかかる費用は1,500から3,000ドルと推算されています。支払いはウォーホルとコロムビア・レコードの営業責任者、ノーマン・ドルフが担当しました。エンジニアにはジョン・リカータが起用されています。

レコーディング後、アセテート盤が制作されましたが、コロムビア・レコードは配給を拒否しました。そのため、グループはアトランティック・レコードやエレクトラ・レコードにアプローチしますが、アトランティックはルー・リードの歌詞に含まれるドラッグ暗示を嫌い、エレクトラもジョン・ケイルのヴィオラに懸念を示し、結局、MGMレコードの子会社であるヴァーヴ・レコードと契約を結びました。

レコーディングとシングルのリリース

1967年5月にはロサンゼルスのTTGスタジオで2日間のセッションが行われ、「僕は待ち人」「毛皮のヴィーナス」「ヘロイン」の3曲が再レコーディングされました。それから約2か月後の7月には、デビュー・シングル「オール・トゥモロウズ・パーティーズ」が発売されました。このシングルでは、ニコがリード・ボーカルを務める曲が選ばれ、そのB面には「ユア・ミラー」が収録されています。

アルバムの発売は何度か延期されましたが、MGMレコードのA&R部長であるトム・ウィルソンの助言を受け、レッドとケイルは新たに「日曜の朝」を作曲し、11月にはニューヨークでレコーディングしました。このシングルは12月にリリースされ、B面は同じくニコが歌った「宿命の女」です。

アルバムのリリースとビジュアル

アルバムは1967年3月12日に市場に登場しました。ジャケットデザインはアンディ・ウォーホルによるもので、バナナが描かれていることから「バナナ・アルバム」とも呼ばれています。バナナの絵の端には「Peel Slowly and See（ゆっくりはがして、見ろ）」と書かれ、初期の盤ではステッカーをはがすことでバナナの果肉が現れるという仕掛けが施されています。

本作は、時代を超えた重要なアルバムとして高く評価され続けており、多くのアーティストによるカバーも存在します。例えば、「日曜の朝」はマシュー・スウィートとスザンナ・ホフスにより、「毛皮のヴィーナス」はスマッシング・パンプキンズなどがリワークしています。こうした多くの影響を通じて、『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』は音楽史において欠かせない作品となりました。

アルバムのリリース以後、その影響力は継続的に広がり、時を経ても多くの音楽ファンに愛されています。ブライアン・イーノがこのアルバムについて称賛の言葉を寄せたように、今もなお、本作は革新性と独自性の象徴として語り継がれています。

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