ヴォルィニャーネ族

ヴォルィニャーネ族は、東スラヴ民族に属する部族連合の一つで、10世紀末から11世紀初頭にかけて、現在のウクライナ北西部にあたる地域、ブク川（西ブーフ川）上流とプリピャチ川河口付近に居住していました。

歴史と概要

ヴォルィニャーネ族に関する最も古い記述は、『原初年代記』に登場します。年代記には、ドゥレーブィ族がかつてブク川沿いに住んでいたが、後にヴォルィニャーネ族がその地を占めるようになったという記述があります。一部の歴史家は、ヴォルィニャーネ族とブジャーネ族は、ドゥレーブィ族の子孫であると考えています。

10世紀後半の地理学者マスウーディーは、ヴァリナナとドゥラバという部族について言及しており、これらはそれぞれヴォルィニャーネ族とドゥレーブィ族を指していると考えられています。

ヴォルィニャーネ族の主要都市は、ヴォルィーニとウラジーミル・ヴォリンスキーでした。これらの都市は、部族の政治的、経済的中心地として機能していました。

文化と生活

考古学的調査から、ヴォルィニャーネ族は農業を営み、鍛造、鋳造、陶芸などの高度な工芸技術を持っていたことが明らかになっています。彼らは定住生活を送り、独自の文化を築いていたと考えられます。

キエフ大公国との関係

981年、キエフ大公ウラジーミル1世は、ポーランド領であったチェルヴェンの諸都市を占領しました。歴史家は、この出来事がヴォルィニャーネ族のキエフ大公国への加盟と関連していると考えています。988年、ウラジーミル1世はウラジーミル・ヴォリンスキーに息子のフセヴォロドを公として据え、これがヴォルィーニ公国の始まりとなりました。ヴォルィニャーネ族の居住地は、その後、キエフ大公国、そしてヴォルィーニ公国の一部として、その歴史を歩むことになります。

ヴォルィニャーネ族は、東スラヴ民族の歴史において重要な役割を果たした部族の一つであり、彼らの文化と生活は、その後のウクライナの歴史に大きな影響を与えました。

参考資料

國本哲男他訳 『ロシア原初年代記』 名古屋大学出版会、1987年。

外部リンク

Карта расселения народов Европы в IX веке. УНПК Орловский Государственный Технический Университет.

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