ウスター

ウスターの魅力と歴史

ウスター（Worcester）は、イングランドのウスターシャー州に位置する州都で、中心都市として栄えています。バーミンガムから南西に約48km、グロスターから北に約47kmの近距離にあり、市内を流れるセヴァーン川は、町の顔とも言える存在感を誇ります。ウスター大聖堂は、この町を特徴づける重要なシンボルであり、その美しい姿が川の上から見下ろす光景は、訪れる人々に深い印象を与えます。また、ウスターは調味料のソースとしても有名で、特にウスターソースの発祥地として知られ、世界中にその名が広がっています。

歴史的背景

ウスターの歴史は古く、古代ローマの時代から人々が集まりサクソン人の城砦が築かれていました。680年には司教座が設置され、ウスターは宗教的な中心地となりました。この周辺では中世の時代に羊毛や皮革の交易が盛んで、都市は繁栄を遂げました。

ウスター大聖堂は、歴代のウスター司教によって建設が進められ、7世紀にさかのぼります。大聖堂はウスター教区の母聖堂として位置付けられ、ドゥンスタン、オズワルド・オブ・ウスター、ウルフスタンなどの聖人を輩出しました。

ウスターはまた、清教徒革命の舞台ともなった町です。1642年に起きたパウィック橋の戦いでは、王党派が勝利を収めましたが、9年後のウスターの戦いではオリバー・クロムウェル率いる議会軍に包囲され、戦闘が繰り広げられました。結局、議会軍が勝利を収め、内戦は終結に向かいました。

18世紀後半からは手袋製造や陶磁器の生産が盛んになり、19世紀初頭にはイギリスでも最大の手袋製造地としての地位を確立しました。1789年にはロイヤルウースター窯が王室御用達となり、その後も名声を博しましたが、最終的には制作拠点をストーク＝オン＝トレントに移すこととなりました。現在もウスターにはその作品を展示する博物館があります。

大聖堂について

ウスター大聖堂は、イングランド国教会の重要な聖地であり、その正式名称は「キリストならびに処女マリア主教座聖堂」です。1084年に建設が始まり、1092年までには主要部分が完成したと考えられています。この大聖堂の地下には、英国最大のノルマン様式のクリプトがあり壮大な雰囲気を醸し出しています。建物の全長は130m、幅は44m、中央の塔は高さ62mに及びます。

この大聖堂には、イギリスの歴史的な人物の墓がいくつかあります。特に注目されるのは、聖歌隊席と高祭壇の間に位置するジョン王の墓です。また、高祭壇の北側にはアーサー王子の墓とチャントリー・チャペルがあり、アーサー王子は若くして亡くなったことから母エリザベスによるチャペルが建設されました。

毎年7月にはウスター、グロースター、ヘレフォードの大聖堂が共同で開催する「スリー・クワイア・フェスティバル」が行われ、ウスター大聖堂もこのイベントの会場となっています。

交通と姉妹都市

ウスターはロンドンから約180kmの距離に位置しています。交通機関も整っており、訪れるのに便利なスポットです。

ウスターには、ドイツのクレーヴェ、アメリカのウースター、フランスのル・ヴェジネなどとの姉妹都市関係も結ばれています。

出身の著名人

ここではウィリアム・モリス（モーリス自動車創設者）や、エドワード・エルガー（作曲家）、女性兵士のハンナ・スネル、自然学者フィリップ・ヘンリー・ゴスなど、多くの有名人が生まれ育っています。ウスターは、歴史的にも現代においても重要な文化的拠点であり続ける町です。

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