一勝地駅

一勝地駅について

一勝地駅（いっしょうちえき）は、熊本県球磨郡球磨村に位置する、九州旅客鉄道（JR九州）肥薩線の駅です。肥薩線は、熊本県と鹿児島県を結ぶ風光明媚な路線であり、一勝地駅はその沿線にあります。駅周辺は、球磨川とその支流である芋川が流れ、豊かな自然に囲まれています。

歴史

一勝地駅は、1908年（明治41年）6月1日に帝国鉄道庁によって開設されました。当初は人吉本線の一部でしたが、その後、鹿児島本線、そして現在の肥薩線へと所属路線が変更されました。1914年（大正3年）には、ストーブの煙突からの出火が原因で駅舎が全焼するという災害に見舞われました。

1973年（昭和48年）に貨物取扱が廃止され、1984年（昭和59年）には荷物扱いも廃止されました。1986年（昭和61年）には電子閉塞装置が導入され、駅は無人化されました。1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化により、JR九州が駅を継承しました。1994年（平成6年）には、駅事務室の一部にJA球磨一勝地駅支所が入居し、簡易委託駅となりました。

2004年（平成16年）には、特急「九州横断特急」の運転開始に伴い、急行「くまがわ」が特急に格上げされ、一勝地駅にも特急が停車するようになりました。しかし、2016年（平成28年）のダイヤ改正で特急が廃止され、普通・快速列車のみの停車となりました。2017年（平成29年）には、観光特急「かわせみ やませみ」が運行を開始し、再び特急列車が停車するようになりました。

駅構造

一勝地駅は、単式ホーム2面2線を有する地上駅です。以前は、2面3線の構造でしたが、島式ホーム内側の線路が撤去され、現在の形になりました。木造の古い駅舎が残っており、回廊があるのが特徴的です。

現在は、球磨村が受託し、球磨村観光協会に再委託する簡易委託駅となっています。かつては、有人駅で広い構内を持っていましたが、無人化後は荒廃が進んでいました。しかし、JA球磨一勝地駅支所が入居してからは、簡易委託駅として再び活気を取り戻しました。観光地として人気が出たため、SL人吉や特急の停車駅にもなりました。

2016年3月のダイヤ改正で特急列車が廃止されましたが、2017年3月には観光特急「かわせみ やませみ」と観光列車「いさぶろう・しんぺい」が停車するようになりました。乗車券や特急券は、補充券や常備券での販売となりますが、現在は人吉駅までの片道・往復乗車券のみの発売となっています。

「SL人吉」の運行日には、ホームで駅弁「一勝地弁当勝つ弁」が販売されています。

駅周辺

駅周辺には、球磨川と芋川沿いに集落が広がっています。一勝地温泉は、芋川沿いに位置しています。駅の近くには、産交バスの一勝地駅前バス停や、対岸には一勝地バス停があります。

主な周辺施設は以下の通りです。

球磨川
熊本県道・鹿児島県道15号人吉水俣線
熊本県道304号一勝地神瀬線
球磨橋
一勝地温泉
国道219号
球磨村役場

その他

一勝地駅は、縁起の良い名前の駅として知られており、駅舎に入居しているJA球磨一勝地駅支所では、「必勝お守り記念入場券」が販売されています。スポーツ選手や受験生などが、勝利や合格を祈願して購入に訪れます。駅に隣接する一勝地郵便局でも、お守りが販売されています。

また、肥薩線の真幸駅との乗車券は、「一生（一勝地駅）幸せ（真幸駅）」という語呂合わせで親しまれており、JR九州では「一生幸せきっぷ」として販売されています。

隣の駅

球泉洞駅 - 一勝地駅 - 那良口駅

（特急「いさぶろう・しんぺい」「かわせみ やませみ」・臨時快速「SL人吉」の隣の停車駅は各列車記事を参照）

参考資料

* 曽根悟（監修）『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』2号、朝日新聞出版、2009年

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