七座神社

七座神社（ななくらじんじゃ）

七座神社は、秋田県能代市二ツ井町小繋に位置する神社です。「ななざじんじゃ」とは読まず、「ななくらじんじゃ」と読みます。七座山を山号とし、斉明天皇4年（658年）に阿部比羅夫によって創建されたと伝えられています。別名「天神七座神社」とも呼ばれ、かつては県社として格式を誇りました。

境内からは能代市の美しい風景や、神社の名前の由来ともなった七座山を一望できます。学業成就のご利益があるとして、受験生からの信仰を集めています。

歴史

阿部比羅夫がこの地に訪れたという伝承は、江戸時代に七座神社の神主によって語られるようになりました。斉明天皇5年（659年）には、阿部比羅夫が飽田（秋田）、渟代（能代）、肉入籠（ししりこ）を訪れたとされています。般若院英泉は、この「ししりこ」を現在の北秋田市綴子であると唱え、阿部比羅夫が米代川を遡り、七座神社を創建したという説を提唱しました。

天正19年（1591年）頃、豊臣秀吉によって秋田へ追放された織田信雄は、家臣に七座天神へ帰京できるよう祈願させ、翌年には帰参を許されたという逸話が『伊頭園茶話』に記録されています。『郡邑記』の小繋村の項には、天正18年に織田信雄がこの地に流され、家臣の浜田某が七座天神に深く祈ったところ、天正19年に霊験があり織田信雄が帰国できた、と記されています。

享保年間（1716年-1735年）には、鈴木定行と加藤政貞の二人が古跡巡礼の際に秋田六郡三十三観音霊場を定め、その30番目に七座神社が選ばれました。しかし、江戸時代には既に七座神社の観音像は紛失していたようです。

天明8年（1788年）には、古川古松軒が七座神社を訪れ、神社の縁起について尋ねています。当時の別当は、「斉明天皇が開基したこと以外は由緒を知らない」と答えたと伝えられています。七座神社が七座山を祀っていたことに対し、古川は「昔は神と言えば、古墳や山や海を祀っていたものだが、今では社などを美々しく建設し仏教を真似て祀っている。昔は明鏡を信仰の対象としていたが、今ではそれに納得せず色々飾り物を並べて、不思議を信じるものなのに、この別当の態度は殊勝だ」と述べています。

大正13年（1924年）には、坊沢村（現・北秋田市）出身の嶺脇及多が七座神社の社司となり、消失していた社殿の再建に尽力しました。嶺脇及多は、神明社司官の長男であり、坊沢小学校校長、水沢小学校校長、宮城県師範学校教諭、陸軍幼年学校教授、帝国女子専門学校主幹などを歴任した人物です。

七座には三湖伝説が残されており、七座神社の鳥居付近から米代川を眺めると、川の中に巨石が見えます。これは八郎太郎が投げた石であるという伝承があります。八郎太郎がこの地にダムを造り住んでいたところ、神々が白鼠を使い八郎を追い出そうとしたという物語も伝わっています。白鼠が土手に穴を掘り始めた時、猫たちが集まって鼠を襲おうとしたため、神々は猫を繋いで鼠を守りました。この出来事から、この地は昔「猫繋（ねこつなぎ）」と呼ばれていましたが、後に短縮されて「小繋（こつなぎ）」になったと言われています。

小繋には禁鼠大明神の祠があり、七座神社で授与される鼠除けの札は、この祠に由来しています。

交通

• - 最寄り駅: JR二ツ井駅から、国道7号 - 秋田県道3号二ツ井森吉線経由、車で10分

脚注

外部リンク 七座神社

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