三ヶ島葭子

三ヶ島葭子の生涯と業績

三ヶ島葭子（みかじま よしこ、本名：三ヶ島よし→倉片よし）は1886年8月7日に埼玉県入間郡三ヶ島村堀之内（現・所沢市堀之内）に生まれ、短歌の世界で革新的な業績を残した女流歌人です。彼女は生涯で6000首以上の短歌を作り、多くの人々に影響を与えました。姉の影響から文学に目覚め、若い頃からその才能を開花させていきました。彼女の異母弟には、俳優の左卜全（本名：三ヶ島一郎）がいます。

彼女の若年期は、埼玉県女子師範学校（現在の埼玉大学教育学部）に在籍中、肺の病気に悩まされ、残念ながら中退を余儀なくされました。その後、小宮尋常高等小学校で代用教員として勤めながら、与謝野晶子の門下に入ります。この時期、彼女は「女子文壇」や「スバル」といった雑誌に短歌や散文を発表し、次第に名を知られるようになりました。1914年には、倉片寛一と結婚し、一女・みなみを授かりました。

上京後も創作活動を続け、「アララギ」や「日光」、「青鞜」などの媒体に作品を発表しました。島木赤彦の門下となり、今井邦子や原阿佐緒とともに新しい女流歌人として期待されました。しかし、彼女の運命は一変します。親友である原阿佐緒と、妻子のあるアララギの重鎮・石原純との恋愛問題に関して、二人を支援する内容の論文を「婦人公論」に寄稿した結果、彼女はアララギから破門されました。

その後、1926年には古泉千樫が設立した「青垣会」にも参加するようになりますが、1927年3月26日、東京市麻布区の自宅で脳出血により40歳という若さでこの世を去りました。彼女の戒名は浄貞妙芳大姉です。

生前には『吾木香』という一冊の歌集を出版しましたが、その後の彼女の作品は遺児である倉片みなみの尽力によって、全歌集や日記が刊行されるに至りました。特に『定本三ヶ島葭子全歌集』や『三ヶ島葭子日記』などは、彼女の短歌の魅力を再発見させる重要な資料となっています。

その他、三ヶ島葭子に関連する書籍も多く発表されており、倉片みなみによる『葭子慕情-母・三ケ島葭子の生涯』や、大原富枝による小説『今日ある命　小説三ヶ島葭子』などがあります。福本武久による『地の歌人　三ヶ島葭子』、秋山佐和子による『歌ひつくさばゆるされむかも―歌人三ヶ島葭子の生涯』などもその業績を広く知らしめる一助となっています。

短歌を通じて表現された彼女の心情は、時代を超えて多くの人の共感を呼び、今もなお多くの人に影響を与え続けています。三ヶ島葭子の短歌は、深い情感と独自の視点を持ち、その作品群は今後も読み継がれていくことでしょう。

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