三上英雄

三上英雄：弁護士、政治家としての波瀾万丈な生涯

三上英雄は、1893年広島県に生まれました。幼少期は郷里で過ごし、その後、大阪、東京へと進学のため転居。日本大学法学部を卒業後、1914年に会計検査院嘱官となります。1917年には弁護士試験に合格し、弁護士として活躍を始めます。

弁護士活動のかたわら、三上は政治の世界にも足を踏み入れました。1928年には東京府会議員に当選。その後も、東京府豊多摩郡杉並町会議員、議長などを歴任し、政治家としてのキャリアを着実に築いていきます。1932年には、第18回衆議院議員総選挙に立憲政友会公認で出馬し、当選。衆議院議員として一期務めました。

政治活動は地方政治にとどまりませんでした。1936年には杉並区会議員、1937年には東京市会議員に当選し、東京の政治の中枢でも活躍します。しかし、三上の経歴は、日本の歴史的転換期と密接に関連しています。1938年、彼は中国に渡り、漢口陸軍特務部嘱託、武漢治安維持指導員、武漢市政府顧問などを歴任。上海では弁護士事務所を開設し、国策会社の顧問、上海市政府中央市場法律顧問なども務めました。上海での活動は、日中戦争下における複雑な政治状況の中で展開されたものでした。

1945年、終戦とともに上海から帰国。戦後、故郷で衆議院議員選挙への出馬を準備していましたが、公職追放の憂き目に遭います。1951年に追放が解除された後、1952年の第25回総選挙に東京都第4区から出馬しましたが、落選しました。しかし、三上の政治家としての意欲は消えることはありませんでした。1967年、杉並区議会議員に当選し、1975年まで務め、議長も務めました。

政治活動に加え、三上は弁護士としての活動にも尽力しました。東京地方裁判所司法委員、東京弁護士会会長、日本弁護士連合会副会長など要職を歴任し、日本の司法制度の発展にも貢献しました。さらに、(社福)助葬会理事長、日本大学本部顧問、同校友会顧問、駿台学園理事など、多様な分野で活躍。その活動は、弁護士、政治家としての枠を超えて、社会貢献という視点からも注目に値するものです。

三上の著作活動も忘れてはいけません。『陪審法述義』、『政党更生か転落か?』、『南洋我觀』、『鹵簿誤導問題につき大臣の責任を問ふ:衆議院に於ける質疑応答を中心にして』などの著書、そして『大震大火後の借地借家問題調停裁判実例:附・借地借家関係法律条文』、『判り易い普選法の大審院判決解説』などの編著は、その時代の社会情勢や法律問題を反映した貴重な記録となっています。

三上英雄の生涯は、激動の時代を生き抜いた弁護士、政治家としてのドラマチックな物語です。彼の活動は、日本の政治、法律、そして社会の発展に多大な貢献を果たしたと言えるでしょう。その功績は、現代においても深く理解し、評価されるべきです。彼の経験と知識は、後世の政治家や法曹関係者にとって貴重な教訓となるでしょう。

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