三國志 ゲームボーイ版

『三國志 ゲームボーイ版』は、1992年9月30日に光栄から発売されたゲームボーイ用歴史シミュレーションゲームです。本作は、同社の人気シリーズ『三國志』のゲームボーイ版第1作であり、他機種からの移植ではなく、ゲームボーイ向けに新たに制作されたオリジナル作品です。

収録されているシナリオは、「董卓の横暴」（190年）と「劉備の雌伏」（200年）の2つです。後漢末期を舞台とし、魏・呉・蜀の三国鼎立以前の時代を描いています。登場武将数は198人です。

ゲーム内容は、シリーズ初代と『三國志II』をベースにしたシステムで構成されています。顔グラフィックは『三國志III』、BGMは『三國志II』のものがそれぞれ使用されています。新君主の作成機能はなく、プレイできる群雄も限られています。

特徴的なシステムとして、同盟国と連携した戦争が挙げられます。隣接する同盟国が戦争を始めると、プレイヤーも強制的に巻き込まれるため、複数の国を同時に攻略できる反面、一気に領土を失うリスクもあります。このシステムは『信長の野望・天翔記』に近いものの、ゲームバランス調整のため、同時に同盟を結べる君主は1つのみに制限されています。

また、本作には唯一の歴史イベントとして「関羽千里行」が用意されています。シナリオ2で曹操を選択し、配下の関羽を総大将として劉備の本拠地を攻めると発生します。

1999年には、本作を移植したワンダースワン用ソフト『三國志 for WonderSwan』が発売されました。この移植版では、顔グラフィックが『三國志V』のものに変更され、通信機能による対戦プレイが可能となっています。

ゲームボーイ版は、ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューで22点（満40点）を獲得しました。レビュアーからは、国の数が少ないものの、戦闘が簡略化されてテンポが良い点、文字が読みやすい点などが評価されました。また、入門用としても適していると評される一方で、三国志に興味がないと楽しめないという意見もありました。また、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」では、20.2点（満30点）となっています。

ワンダースワン版は、『ファミ通』のクロスレビューで合計24点（満40点）を獲得しています。

『三國志 ゲームボーイ版』は、携帯ゲーム機で手軽に楽しめる三國志として、多くのファンに親しまれました。オリジナル要素も盛り込まれており、シリーズファンにとっても新鮮な体験ができる作品と言えるでしょう。

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