三大聖火

三大聖火について

ゾロアスター教において、特に重要な意味を持つのが「三大聖火」です。これらは、教団内で最上位から第3位に位置づけられる聖火の総称であり、サーサーン朝ペルシア帝国時代にその序列が定められました。各聖火は特定の階級の守護聖火としての役割を担い、ゾロアスター教の信仰において中心的な存在でした。

三大聖火の一覧

以下に、三大聖火それぞれの詳細を説明します。

1. アードゥル・ファッロバーイ聖火
序列：第1位
守護階級：神官階級
起源：伝説によれば、王ジャムシードがホラズムで叙任し、その後、カウィ・ウィーシュタースパの時代にペルシア地方へ移動したとされています。14世紀にはヤズド州に移され、現在ではシャリーファーバード村で維持されています。この聖火は、神官階級の守護聖火として、宗教儀礼において重要な役割を果たしています。

2. アードゥル・グシュナスプ聖火
序列：第2位
守護階級：軍人階級
起源：伝説では、王カイ・ホスロウがアゼルバイジャンで叙任したとされています。ガンザクに置かれていましたが、943年を最後にその所在は不明となっています。この聖火は、軍人階級の守護聖火として、戦いの勝利や国の安全を祈願する際に重要な役割を担っていたと考えられています。

3. アードゥル・ブルゼーンミフル聖火
序列：第3位
守護階級：農民階級
起源：ザラスシュトラがホラーサーンで叙任したと伝えられています。ネーウ・シャープフルに置かれていましたが、こちらも943年以降、消息を絶っています。農民階級の守護聖火として、豊穣や作物の収穫を祈る際に重要な役割を果たしていたと考えられます。

三大聖火の重要性

三大聖火は、それぞれ異なる階級の守護聖火であり、ゾロアスター教の社会構造と深く結びついていました。これらの聖火は、単なる火ではなく、神聖な存在として崇められ、宗教儀礼の中心を担っていました。

参考文献

青木健『ゾロアスター教史:古代アーリア・中世ペルシア・現代インド』刀水書房、2008年10月　ISBN 978-4-88708-374-5

関連項目

ヴァフラーム聖火
ゾロアスター教
* パールシー

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