三成聖者

東方教会の三成聖者

東方教会において、特に重要な三人の聖人として知られるのが、大ワシリイ（ヴァシリオス）、神学者グリゴリイ（グリゴリオス）、金口イオアン（イオアンニス）です。これら三人は「三成聖者」（ギリシア語: Οι Τρείς Ιεράρχες, ロシア語: Три Святителя, ルーマニア語: Sf. Trei Ierarhi, 英語: Three Holy Hierarchs）として共に記憶され、正教会では「三大成聖者大司祭首」とも呼ばれています。

これらの聖人は、初代教会に多大な影響を与えた主教たちであり、キリスト教神学の発展に不可欠な役割を果たしました。特に、大ワシリイと神学者グリゴリイは「カッパドキア三教父」としても知られ、その神学的貢献は広く認められています。また、カトリック教会においても、この三人は教会博士として崇敬されています。

三成聖者を構成するそれぞれの聖人は、正教会、カトリック教会、聖公会など、様々なキリスト教の教会で崇敬されています。しかし、三人を一組として「三成聖者」と呼び、特に記憶するのは正教会です。

「三成聖者」の起源

11世紀のコンスタンディヌーポリでは、三人の主教の中で誰が最も偉大かという論争が起きました。大ワシリイを支持する人々は、彼のキリスト教信仰と修道に関する教えを最も優れていると主張しました。一方、金口イオアンの支持者は、彼の卓越した説教能力と罪人に悔い改めを促す力に注目し、彼が最も偉大であると主張しました。また、神学者グリゴリイの支持者は、アリウス派に対する反論や信仰の擁護における彼の権威と深遠さを称えました。

当初、三人の祭日はそれぞれ異なっており、大ワシリイは1月1日、グリゴリイは1月25日、金口イオアンは1月27日に祝われていました（いずれもユリウス暦）。しかし、1084年にエウカイタの主教である聖イオアン（イオアンニス・マウロプス）の前に三成聖者が共に現れ、三人が神の前で等しい存在であることを示したと伝えられています。この出来事を受け、1100年頃、東ローマ帝国皇帝アレクシオス1世コムネノスの治世下で、1月30日が三成聖者全員を記憶する祭日として定められました。

この祭日は、三成聖者の神学的業績と、彼らがキリスト教信仰に与えた影響を共に讃えることを目的としています。

各聖人の業績

大ワシリイ（ヴァシリオス）：修道生活の規範を確立し、社会福祉活動にも力を注ぎました。彼の著作は、キリスト教神学の基礎を築く上で重要な役割を果たしました。

神学者グリゴリイ（グリゴリオス）：アリウス派との論争において、正統信仰を擁護し、三位一体論の発展に大きく貢献しました。彼の神学的洞察は、後世の神学者たちに大きな影響を与えました。

金口イオアン（イオアンニス）：その卓越した説教能力から「金口」と呼ばれ、民衆に深い信仰心と倫理的な生き方を説きました。彼の説教は、今日でも多くの人々に感銘を与えています。

まとめ

三成聖者は、それぞれが独自の才能と業績を持ちながらも、キリスト教信仰を深める上で不可欠な存在です。彼らは、東方教会だけでなく、広くキリスト教世界において尊敬を集めています。三成聖者に対する理解を深めることは、キリスト教神学の歴史を学ぶ上で非常に重要です。

参考資料

Parry, David; David Melling (editors) (1999). The Blackwell Dictionary of Eastern Christianity. Oxford: Blackwell. ISBN 0631189661

関連項目

コンスタンディヌーポリ総主教の一覧
教父
ギリシア[[教父]]
カッパドキア三教父
三成聖者大聖堂
トリー・スヴャチーチェリャ (戦艦)

外部リンク

生神女マリヤ、聖人、聖師父 - 日本正教会公式サイト内のページ
The Three Holy Hierarchs (ギリシャ正教会大主教区)
Synaxis of the Ecumenical Teachers and Hierarchs: Basil the Great, Gregory the Theologian, and John Chrysostom Orthodox synaxarion

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