三枝蓊

三枝蓊：幕末の志士の生涯

三枝蓊（さえぐさ しげる）は、1840年に大和国椎木村（現在の奈良県大和郡山市椎木町）で生まれました。彼は僧侶でありながら尊王攘夷を志し、当時のしがらみを超えて武士としての道を歩んだ人物です。幼い頃から藤本鉄石に絵画、伴林光平に国学や和歌を学び、次第にその志を強めていきました。

幕末の動乱と天誅組の参加

三枝は文久3年（1863年）8月に天誅組の変に参加し、市川精一郎名義で活動を始めました。高取城の攻略に失敗した後、彼は天誅組を離れ、各地を転々としながら息を潜める日々を送りました。その間に詩や書画を残し、文化的な側面でも活動をしていたようです。1867年12月、彼は鷲尾隆聚、田中顕助らと共に高野山での挙兵に加わりましたが、その後義軍が解散し、彼は朝廷の御親兵になる機会を得ました。

新政府への失望と襲撃への決意

大政奉還後、新政府が攘夷を放棄して外国との交際を進めていく姿を見て、三枝は大きな失望を覚えました。1868年2月15日には堺でフランス水兵による事件が起こり、その後の新政府の対応に憤りを感じ、自ら攘夷を実行しようと決意しました。

ハリー・パークスの襲撃

慶応4年（1868年）2月30日、三枝は同志の朱雀操と共にイギリス公使ハリー・パークスの一行に襲撃をかけました。明治天皇に謁見するために向かっていた途中の出来事でしたが、警備が非常に厳重であったため、襲撃は期待通りにいきませんでした。三枝らはイギリス兵に対して負傷を与えましたが、朱雀は護衛の薩摩藩士中井弘との争いで命を落とし、三枝も重傷を負い捕鯨されることとなりました。

三枝は襲撃の責任を問われ、3月4日に粟田口刑場で斬首され、その首は3日間晒されることとなりました。享年29という若さでの死は、彼の志を持っていた他の志士たちに強い影響を与えることになりました。彼の襲撃に関与した者たちも厳しい処罰を受けました。

襲撃に関する遺物

処刑直前に、三枝と中井によって斬首された朱雀の写真が現在も残されています。また、三枝が使用していた刀の一部は、阪神淡路大震災によって失われましたが、朱雀が使用していた刀は現在、京都市の霊明神社に保管されていることが確認されています。

死後の扱い

三枝は新政府によって平民として裁かれ、志士としての経歴があるにもかかわらず、殉国の志士としての名を持つことはありませんでした。また、靖国神社にも奉られておらず、その最期は伝説的なものとなったのです。彼の墓所は京都市東山区にある霊山墓地にあります。

関連作品

• - 司馬遼太郎の短編集『最後の攘夷志士』
• - 後藤和雄の『甦る幕末』

三枝蓊の生涯は、幕末の動乱と外国勢力に直面した時代の中で、志を持って立ち向かう一人の若者の物語として語り継がれています。

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