朱雀操

朱雀 操 (すざく みさお) の生涯

朱雀操は生年は不詳で、慶応4年2月30日（1868年3月23日）に亡くなった幕末の勤王志士です。本名を林田衛太郎貞堅といい、彼は京都洛西桂村の出身とされています。各種の記録によれば、元小堀家の家来であったという情報もありますが、村医者の息子で士分ではなかったとの説も存在しています。

■ 来歴
朱雀は慶応3年（1867年）12月、鷲尾隆聚や田中顕助らと共に高野山挙兵に参加しました。この挙兵は高野山義軍とも呼ばれ、最初は順調でしたが、義軍は後に京都に進出し、その後解散しました。その後、朱雀は朝廷御親兵に籍を置くことになります。

しかし大政奉還から王政復古が行われ、新政府が攘夷政策を放棄して外国との交際を開始すると、朱雀は新政府に失望しました。彼は同志とともに独自に攘夷を実行する計画を立て直します。

■ ハリー・パークス襲撃事件
慶応4年（1868年）2月30日、朱雀は同志の三枝蓊とともにイギリス公使ハリー・パークス一行の襲撃を決行しました。事件の際、パークスは明治天皇に謁見するために宿所の知恩院から御所に向かうところでした。

朱雀と三枝は、公使の警護を担当しているイギリス軍兵士9人に重傷を負わせましたが、厳重な警備体制の中、朱雀は薩摩藩出身の護衛、中井弘と激しい斬り合いとなりました。その結果、中井に胸部を刺されて倒れ、その後土佐藩の参政である後藤象二郎に斬られました。朱雀はこの戦闘で命を落とし、三枝も重傷を負い、襲撃は失敗に終わります。

朱雀の享年は不詳ですが、彼の首は後に三枝と共に粟田口刑場で3日間晒され、その首の写真が残されています。また、襲撃で使用した刀は、京都市東山区の霊明神社に現存していることが2016年に確認されました。

新政府は朱雀とその同志の身分を武士から平民に下げ、罪人扱いで記録しました。これにより、尊王攘夷の志士としての評価を受けることなく、殉国の志士の名を記した殉難録にも掲載されず、靖国神社にも祀られていないという状況にあります。彼の墓所は京都市東山区の霊山墓地に位置しています。

■ 親族
朱雀の親族には、刑部省京都留守小監察となった喜多寛三郎千穎が従弟として知られています。

関連作品

司馬遼太郎の短編集『幕末』に収録された『最後の攘夷志士』は、彼の人生や業績に関連する作品として注目されています。

このように朱雀操の生涯は、幕末の攘夷志士としての志を胸に抱えた悲劇的なものであり、彼の行動は新しい時代の幕開けの中での激しい葛藤を象徴しています。

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