三河島事件

三河島事件

三河島事件（みかわしまじけん）とは、1923年に発生した東京大[[相撲]]における重要な争議事件です。この事件は、力士たちがより良い待遇を求めて行動を起こした結果、多くの注目を集めました。

経緯

事件の発端は、1923年1月8日に行われた力士会の総会です。この総会では、力士養老金（退職金）の倍増、興行収入の15%を力士に分配すること、十両昇進力士への適切な処遇を求める三つの要求が提案されました。これらの要求は、当時の力士たちに厳しい状況があったことを反映しています。年寄名跡には先代年寄の家族を扶養する義務があり、平幕止まりの力士では退職金を十分に受け取ることが難しかったためです。

しかし、大日本[[相撲協会]]はこれらの要求を受け入れませんでした。協会側は、横綱の大錦や栃木山、大関の常ノ花や千葉ヶ嵜、源氏山、および立[[行司]]の木村庄之助や式守伊之助の7名を残して、予定通り春場所を開催しようとしました。これに対し、力士会側は強く反発し、関取や行司合わせて78名が休場する覚悟で上野駅前の上野館に移動しました。このため、春場所はボイコットされることとなります。

その後、協会側による春場所の強行開催が1月12日に行われましたが、残った横綱や大関たちは土俵入りを行ったものの、実際の取組は関取なしの幕下以下だけという異常な状況でした。この結果、横綱や大関による調停も不調に終わり、力士会側の態度は更に硬化しました。

力士会は上野館から三河島の日本電解工業の工場に移り、土俵を設営し立て籠もりを始めました。この緊迫した状況の中、警視総監の赤池濃が調停に乗り出し、春場所の開催、養老金の5割増、さらにその準備金を捻出するために興行日数を1日延長することで和解が成立。1月18日深夜には警視庁で手打ち式が行われることとなりました。

しかし、宴席で横綱の大錦は自己の責任を感じて廃業を表明し、髷を切ることを決意しました。この結果、春場所は帰参した力士たちのために1週間の稽古日を設け、1月25日を「返り初日」として改めて開催されることとなります。

この特別な春場所の初日、横綱の土俵入りでは騒動の影響が色濃く現れ、横綱土俵入りの従者には他の横綱と大関・常ノ花が配されるという前代未聞の事態が起きました。また、1923年1月12日付の報知新聞には、年寄の浅香山と千賀ノ浦の二人が幕下力士から「明日の相撲は本場所か花相撲か」と問われた際に、「花相撲ではない。本場所であり、中堅力士として大事な存在である」と返答したというエピソードが掲載されていました。

以上のように、三河島事件は力士たちの待遇や権利を巡る争いから生まれた歴史的事件であり、相撲界の重要な転機として知られています。

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