三浦ダム

三浦ダムについて

三浦ダムは、長野県木曽郡王滝村にある重力式コンクリートダムです。このダムは、木曽川上流の王滝川をせき止めることで形成される貯水池、通称「三浦湖」を持ち、その貯水された水は冬季の渇水期に下流発電所への水量を補うために放水されます。また、ダムには三浦発電所が附設されており、そこでの発電も行われています。

ダムの高さは83.2メートルあり、基礎岩盤上に構築されています。ダムは290メートルの堤頂長を持ち、体積はおよそ50万7,000立方メートルです。ダムの右岸には二つの洪水吐ゲートが設けられていますが、これは主に非常時の水の排出に利用されます。三浦湖の湛水面積は約2.8平方キロメートルで、総貯水容量は6221万5700立方メートルあります。この貯水容量のうち、実際に利用可能な水深は47メートル以内で、6160万立方メートルに達します（数字は2008年3月時点）。

建設の経緯と役割

三浦ダムが建設される前、この場所は「三浦平」と呼ばれる盆地でした。この盆地では4つの支流が集まり、王滝川が形成されていました。ダム建設の計画は、大正から昭和戦前期にかけて木曽川の電源開発を行っていた大同電力によって立案されました。大同電力は1932年に貯水池の設置を許可され、1935年に工事を開始しました。

当初は木曽川の発電所が渇水期に発電力を減らすため、火力発電設備が必要とされていたため、三浦ダムはその解決策として計画されたものです。豊水期に貯めた水を渇水期に利用することで、安定した発電が可能となると考えられていたのです。

工事中、電源として木曽福島から送電線が架設され、様々な運搬手段が利用されました。1939年、工事は未完成のまま日本発送電に引き継がれましたが、最終的には1942年にダムは完成します。ダムの運用は毎年冬の渇水期に水を放流し、春に雪解け水を貯留する形で行われています。これは、事前に計算された理想的な水量のもとで、年間発電量の向上につながります。

三浦発電所

三浦ダムには三浦発電所と呼ばれる発電所が付属しており、ダム直下に位置しています。発電所は最大で7,700キロワットの出力を誇り、最大使用水量は17.50立方メートル毎秒です。発電所は1943年に着工され、1945年に竣工しました。竣工当時の出力は7,500キロワットでした。特に特徴的なのは、導水路が存在せず、ダムの取水塔から直接導かれた水によって発電が行われることです。1951年の電気事業再編成により、三浦発電所は関西電力に引き継がれ、その後出力は7,700キロワットに引き上げられました。

滝越発電所

三浦発電所の下流には滝越発電所があり、こちらは最大出力2万8,900キロワットに達します。滝越発電所は1950年に着工され、1951年に竣工されました。この発電所は、三浦発電所と同じ水量で発電を行うものの、有効落差は三倍以上の185.50メートルです。水車発電機が2組設置されており、更新工事を経て出力が増強されています。

周辺環境

三浦ダムの周辺は国有林に囲まれ、自然環境が保護されています。周辺には関西電力の発電用ダムや、いくつかの多目的ダムが存在し、広域な水資源管理が行われています。ダムへのアクセスは制限されているため、周辺の自然を楽しむには適した環境と言えるでしょう。

このように、三浦ダムは木曽川水系における重要な役割を果たしつつ、その周辺環境が保全されているダムとして注目されています。

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