三田牛

三田牛（さんだぎゅう）

三田牛とは、但馬牛として生まれた子牛を、三田肉流通振興協議会が指定した生産農家が肥育した牛肉、および三田食肉センターで解体処理され同協議会の基準に合格した牛肉を指します。

牛肉として流通する際は「三田肉」と呼ばれることが多いですが、飲食店などでは「三田牛」の名称も用いられます。

定義

三田牛として認められるには、以下の条件を満たす必要があります。

但馬牛の子牛であること
三田肉流通振興協議会が指定した生産農家（主に兵庫県三田市とその周辺地域）で25ヶ月以上肥育されていること
三田食肉センターで解体処理された、月齢30ヶ月以上の牛であること

特筆すべき点として、日本食肉格付協会の格付けによる呼称制限がないため、肉質等級が最低の1であっても「三田肉」または「三田牛」を名乗ることが可能です。

2007年には、特許庁から「三田肉・三田牛」が地域団体商標として認められました。

歴史

現在の三田市周辺の旧有馬郡は、かつて三田藩、幕府御三卿の田安家、御所などの領地であり、米の生産地でした。そのため、農耕用や荷役用の牛が飼育されていました。

特に、年貢米を運ぶ荷役牛が痩せているのは領主の恥であるとされ、牛を太らせるための特別な飼育方法が行われていました。開国後、神戸港が開港し、外国人居留地が設けられると、外国人の間で牛肉の需要が高まりました。しかし、当時の日本では食用牛の飼育は一般的ではありませんでした。

明治維新後、年貢米を納める必要がなくなった三田では、余った荷役牛を食用に転用したところ、太らせる飼育方法によって霜降り肉となっていた三田牛は、その美味しさで絶賛されました。神戸の食肉業者がこぞって三田の牛を買い付けたことから、神戸ビーフのルーツは三田牛であると言われています。

近代に入ると、食肉を主な目的とする生産が始まり、一部の畜産農家では神戸ビーフ（神戸牛）として販売するための肥育も行われるようになりました。しかし、三田市で肥育された但馬牛が「神戸ビーフ」のブランドに埋没していく危機感から、1986年に三田肉流通振興協議会が設立されました。

兵庫県内には、同様に但馬牛の一部を地理的表示によってブランド化している例として、黒田庄和牛、淡路ビーフ、丹波篠山牛などがあります。

ミシュランガイド東京2008

ミシュランガイド東京2008では、御成門にある三田牛専門のステーキ懐石料理店「麤皮（あらがわ）」が紹介され、三田牛は「年間千頭しか生産されないという厳選された素材」「思わず自然の恵みに感謝したくなる」と絶賛されました。

関連項目

但馬牛
牛肉
日本のブランド牛一覧
地理的表示

外部リンク

三田肉流通振興協議会

もう一度検索