三菱・4B1型エンジン

三菱・4B1型エンジンの詳細

三菱・4B1型エンジンは、三菱自動車工業が設計・製造する自動車用の4ストローク直列4気筒エンジンシリーズです。このエンジンは、特に4B10、4B11、4B12の各型に分かれ、それぞれ異なる排気量と性能を持ちながらも、すべて「ワールドエンジン」として共通の設計思想に基づいて開発されました。四つの型は便宜上、4B1という名称で括られることが多いです。

ワールドエンジンの背景

4B1型エンジンの起源は、三菱自動車工業と韓国の現代自動車、さらにはダイムラー・クライスラーの協力によって設立された「グローバル・エンジン・アライアンス」にあります。このアライアンスは、共同開発と部品の共有を通じて、開発費や製造コストの削減を図ることを目的としていました。共用される部品は主にエンジンの基本的な要素に限られ、各社が市場のニーズに応じてエンジンの仕様を自由に変更できる余地が残されています。このため、個々のエンジンには独自の特性と技術が付加されています。

4B1型エンジンの製造と供給

4B1型エンジンの製造は、2023年現在、日本の滋賀県にある京都製作所滋賀工場で行われています。また、このエンジンシリーズはマレーシアのプロトン車両でも使用されており、たとえばプロトン・インスピラには4B10及び4B11が搭載されています。

各エンジン型の詳細

4B10

4B10型エンジンは、ショートストロークエンジン設計に基づいています。日本国内では2009年12月にマイナーチェンジされたギャランフォルティスに初めて搭載されたのですが、海外ではそれ以前からランサーに使用されています。4B10は、その特性からコンパクトな設計が求められるモデルに理想的です。

搭載車両:

• - 三菱・ギャランフォルティス (2009年 - 2011年)
• - 三菱・RVR (2010年 - 2012年、日本向け)
• - プロトン・インスピラ (2010年 - 2015年)

4B11

4B11型エンジンには、自然吸気モデルとターボモデルの二つのバリエーションがあります。自然吸気モデルは主にギャランフォルティスに搭載され、ターボモデルは性能を重視したランサーエボリューションXなどに使用されています。ターボモデルは、特に軽量化が図られ、強化された部品と高剛性設計により、優れた出力と反応性を実現しました。

搭載車両:

• - 三菱・ランサーエボリューションX (2007年 - 2016年)
• - 三菱・ギャランフォルティス (2007年 - 2019年)
• - 三菱・アウトランダー (2009年 - 2023年)

4B12

4B12は、このシリーズの中で初めに登場したエンジンで、主にアウトランダーやデリカD:5に搭載されています。4B12はロングストロークエンジンであり、ボアが4B10や4B11より2mm大きいのが特徴です。特にアウトランダーPHEVにはアトキンソンサイクルが採用され、ユニークな出力特性を持つ仕様が評価されています。

搭載車両:

• - 三菱・アウトランダー (2005年 - 2021年)
• - 三菱・デリカD:5 (2005年 - 2019年)
• - プジョー・4007 (2007年 - 2012年)

結論

三菱・4B1型エンジンは、その設計背景と性能特性により、自動車業界において重要な位置を占めています。エンジンの多様性が保持されつつ、共通基盤を造ることで、各社がそれぞれの市場ニーズに応じた製品を提供している点が大きな魅力です。今後もこのエンジンシリーズは進化を続け、自動車技術の発展に寄与していくことでしょう。

もう一度検索